痛みとは感覚が正しく入ってこない状態を指す。え、当たり前だって?
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もう10月も終わりですね。
この数ヶ月は目の前の課題をこなすことに精一杯で、休日くらいは子どもの相手をしっかりしてあげたいと思いつつも自分の体力がかなりすり減っているのが分かります。
夜になってようやくPCに向かっているところですが・・・
何度か触れてきましたが、
私は臨床家として脳に関する研究をしていた期間が長く、
顧客の問題解決=運動学習
という視点で治療に当たることが自分の中での絶対的なルールとして存在します。
痛みのある患者さんの問題を評価するとき、
ある特定の行為は複数の構成要素に分けられ、身体の各部位は行為において重要な機能単位に細分化されます。
具体的に言うと、
「洗濯物を干すときに物干し竿に手を伸ばす」という行為に対して、
・自分の姿勢を維持するために腹圧が上昇する
・胸を張って身体を伸展させる
・足下がグッと踏ん張る
・肩が持ち上がって物干し竿へと腕を方向付ける
・物干し竿との距離を調整する
・正確に目的を達するための末端での微調整
というざっくりとした構成要素が存在します。
このときの身体各部の役割を明確にすると、
・体幹および下肢・・・姿勢制御
・肩甲骨・・・上肢の土台
・肩・・・方向付け
・肘・・・距離の調整
・手首・・・指の向き
・手指・・・物の持ち方
と、機能単位としてどの要素が欠けても行為が成立しなくなることが分かります。
したがって、
「肩が痛い」と仰る顧客に対して単純に「肩」の問題と見なすのではなく、
一連の行為において特異的病理(上手く制御できていない)のある部位や要素はどこなのか?
という視点を持つことが、問題を鑑別する上で極めて重要である
と考えています。
今日はずいぶん専門的な話になってしまってますね。
例えば、
腕を挙げる時に「肘を曲げてないと上がらない」という対象者はかなり多いです。
痛みの生じる部位は肩であっても肘を曲げる筋肉が硬くなりすぎて重たくなっていることがそもそもの原因である
ということが頻繁にあります。
また、
猫背で胸郭(肋骨周囲)の可動性が狭い方の肩甲骨はガッチガチに固まっており腕の土台として機能していない
なんてこともしょっちゅうです。
こういった問題を抱えている状態では、
腕を上げる=とにかく力を入れること
となっておりまともな感覚などとても入ってきません。
ここで言うまともな感覚とは、
「軽い感じ」
「腕が伸びる感覚」
「指が遠くに感じる」
「呼吸が楽」
etc・・・
こういった感覚が慢性的に欠落してしまう訳ですね。
したがって、
治療の目的は「これらの感覚が感じられるようになること」だと信じてます。
この目的に沿う戦略を取捨選択していくのがセラピストの仕事です。
やはり筋トレではどうにもならなさそうですよね。
次回に続きます。
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漫然と膝にヒアルロン酸を打ち続ける方が実はかなり多いことに気付いた。
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最近、
仕事に追われてブログを後回しにしている感が半端ないですが・・・
病院で作業療法士として動いているとき、
膝や股関節の問題を抱えている患者さんのリハビリテーションは理学療法士がやるものである
というよく分からない基準がありました。
おそらく、
理学療法士は脚のリハビリ
作業療法士は手のリハビリ
という価値判断が療法士側にもあるためです。
そして、最近よく耳にするのは
「半月に一回は膝にヒアルロン酸注射を打ってもらいに病院に通っている」
というお客さんの声。
そもそも、
膝に痛みを抱えている方の多くは長年の肉体労働や、それに伴う加齢性変化によって関節の構造自体が変性していることが殆どですね。
患者さん本人は、
「出来るだけ手術はしたくない」
という思いをお医者さんに伝えるため、
「では関節内に注射をしましょう」
と言う流れができやすいものです。
確かに、
ヒアルロン酸は関節の潤滑油やクッションの役割をしており加齢と共に減少して・・・
云々とググればすぐに情報が入ってくる時代です。
以前から使われている治療手段ですからそれで「膝の痛みが治った」人もいるのでしょう。
しかし、
ウチに相談に来られるお客様は
「注射の後はしばらく痛くて動かれんし、2,3日は痛いまま。それを1年くらい続けてます」
「立つ時は相当気合いを入れんといけんし、買い物に行ったらまず座れるところを探す」
というなかなかの強敵揃いです。
この慢性化した問題に対して、
もはや注射でどうにかなる可能性は極めて低いことが分かります。
膝という構造は、
人間が立って活動する限り常に体重と床からの衝撃に挟まれる「中間関節」です。
自分の体重を支えながら移動する
という基本動作は骨盤・股関節・膝・足首・足趾まで全ての協調的な動員によるものであり、
そのうち最も可動性が求められるのは確かに「膝」であるけれども「膝が痛い」という慢性的な症状を抱える人で膝以外は正常だ
などという人を見たことがありません。
特に、
膝から下が硬くなり「脛がパンパンに腫れている」場合が多くあります。
そのような方のふくらはぎ(=下腿三頭筋)を触れると柔軟性が失われ足首の可動域も非常に狭い
ことが分かります。
つまり、
地面からの衝撃を逃がす緩衝装置としての機能が破綻し足元で殺し切れないエネルギーが上へと伝わっていくことで、体重支持以上の負荷が慢性化し膝へのダメージが蓄積する
と仮説を立てることができます。
治療すべきターゲットが「膝」ではなく「ふくらはぎ」だとすると、
筋筋膜性の連結を考慮した運動療法の必要性が出現してきます。
ここでいう運動療法の目的は「足部の緩衝作用を再構築して膝への荷重ストレスを軽減すること」であり、筋トレをするという意味ではありません。
これらをご本人に伝えた上でエクササイズを実施してみます・・・
最初の評価・治療で「立って靴が履けるようになった」
次の治療で「脚が抱えられるようになった」
さらに続けていくと「自然に立てるようになった」「椅子を探さんでもよくなった」「ロボットのような動きでなくなった」・・・
という学習効果が定着してきました。
なお、ヒアルロン酸は早急にご本人の意思で終了したそうです。
まだこれからも改善していく要素は少なからずありますが、
10年後の自分の生活の質に危機感を抱き現状を変えたいと強く思われた方が、こうして適切な運動療法を選択されたことに私としても嬉しく思います。
現代医学は様々な治療法が確立しつつありますが、
我々の仕事においてはフィジカルアセスメントが最も重要です。
(このブログの読者であるあなたはもうご存じかも知れませんが今一度強調しておきます。)
仕事をする場所が変わっても私には国家資格を持った療法士としてのプライドや「常に考えること」は決して忘れないようにしています。
もし身近に、
ただのルーチンワークとして病院に通い痛みに悩んでおられる方がおられましたらお気軽にご相談いただければと思います。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
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自分が「何屋」か5秒で言い表せないセラピストの皆さんへ
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最近は仕事が増えてきたことで、ゆっくり記事を書く時間がなくなってきました。
そもそも、
いつも1つの記事を書くのにかなり時間を費やしてしまい、更新の頻度が非常に遅いのですか・・・
それはさておき、
自分の保有している国家資格に関して、以前から感じていたことをとりとめなく記事にしていきます。
私が起業することを決めたずっと前、それこそ独身の頃から時々考えていたのは、
自分は何屋なのか、ということ。
私の保有資格である「作業療法士」の定義は、私が大学を出た時点ではこうでした。
身体又は精神に障害のあるものに対して、
主としてその応用的動作能力・社会的適応能力の回復を図るため、手芸・工作・その他の作業を行わせることを生業としている者
・・・ちょっと待てよ。
あれだけ必死に解剖学や運動学を勉強した結果、手芸・工作をさせるのが我々の仕事?
と、この文面を見る度にツッコミを心の中で入れていました。
その後、
さすがにこれはマズいと感じた偉い人達がこの定義にてこ入れして、
身体または精神に障害のある者、またはそれが予測されるものに対して
その主体的な活動の獲得をはかるため、諸機能の回復・維持および開発を促す作業活動を用いて行う治療・指導・援助を行う者
となりました。
もっとも、この堅苦しい表現を平たく言うと、
「何かしら問題がありそうな人には何かしら作業をさせて元気になってもらおう」
てな具合です。
乱暴な言い方になりますが、この考え方がベースにあるため
機能の回復とは出来ることを増やすことだ
的な思考に陥りがちです。
例えば、
あなたがセラピストならこんなやりとりをしていませんか?
患者さん「腰が痛いです」
→セラピスト「腰が痛いのはお医者さんに診てもらって下さい」「今日はこれくらいの運動にしておきましょう」
→ドクター「こりゃ歳ですね」「リハビリをしっかりやって筋力つけんさい」
→セラピスト「力をつけろと言われたんですね。じゃあ頑張りましょう」
この流れで主観的な問題の解決になると思う人はおそらくほとんどいないでしょう。
昔、自分に大した引き出しがなかった頃
「作業療法士さんって何する人なの?」
と患者さんに聞かれて、上に書いたような教科書的な答えしか説明出来ずに悔しかった時代があります。
ていうか最近でも、
と聞かれて、
「理学療法士は基本的な動きを教える人、作業療法士は日常生活の動作を教える人」
と説明しているのが耳に入ってきます。
基本的な動き?日常生活の動作?・・・
一般の人には分かりにくい表現です。
私はビジネスとしてリハビリを提供するマインドを持つようになってから、
ここまで挙げた例は全て「手段」に焦点を当てており、その結果対象者がどうなるのかという「目的」が不鮮明なままである
と気付きました。
それを踏まえて、今の私の答えはこうです。
「対象者が幸せに暮らせるようになる専門家」
ここで言う対象者とは、
慢性的な痛みやしびれ、動きにくさを抱えたリハビリ難民を指します。
ただ、それらに対して適切なサービスを提供するためには絶対的な実力と経験が必要だと強く感じて準備をしてきました。
数年間の修行を経て知識は相当ついたと思っていても、
まだまだ地域の皆様のお悩みに応えるには経験不足だなと感じながら、日々仕事に取り組んでいます。
あなたがセラピストなら、自分は何屋だと表現しますか?
もし同じ意見の方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度ご連絡下さい。
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失語症の方には言葉を使う訓練が全てだと思っているセラピストへ
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つい先日、修行帰りに久しぶりに駅ナカのメンズファッションのお店に入りました。
ウィンドウショッピングは昔から好きで、店員さんと波長が合うと長話になったりするのも楽しみの1つなんですが…
どんなに華やかな仕事をしている方でも、私生活ではいつかは家族の医療介護問題に直面します。
今日はそんな内容でお送りします。
「知り合いの家族が失語症のリハビリのために病院に通っている」
という文言を聞くと、
言葉を話す練習を一生懸命しているというイメージが強いし、実際その通りのようです。(失語症とは、脳梗塞などで大脳皮質の言語領域を損傷することで生じる、話す/理解する機能の障害を総称した病態です)
殆どの病院ではリハビリテーションは役割分担のようなシステムになっており、
ざっくり分けると
・理学療法士=身体のリハビリ
・作業療法士=生活能力のリハビリ
・言語聴覚士=言葉と飲み込みのリハビリ
です。
例えば、
このケースのように退院出来るくらい身体や生活能力が改善すれば自然と
「後は言葉の訓練だけ」
「身体の訓練は終了です」
となります。
なので、
「思うように言葉が出ない」という問題を解決するために言語聴覚士による言葉の訓練を続けていくのが医療者も対象者も当然だと感じるわけですね。
ちょっと待て。
言葉を話すという行為は、
言い換えると喉の筋肉を用いて声帯を振動させ多様な音声を出力する随意運動です。
失語症に限らず言語表出にトラブルを抱える患者さんは、自分の意思を他者に伝えることが不得手なのですが、
何とか伝えようとして体中を緊張させてしまうことが非常に多いのも特徴です。
なかなか出てこない言葉を頑張って出そうとする過程で、
首や肩を緊張させて首筋が浮き上がったり、やたらと肩がすくんでいる対象者を良く見かけます。
そのような状態が慢性化すると、
気道や肺という換気に関わる組織を圧迫し血液循環そのものが停滞、
その結果発声に必要な筋肉も栄養不足になります。
つまり、
話す練習をする以前に頸部や胸郭(肋骨に覆われている体幹の上部)の柔らかさ、位置のズレ、筋肉の緊張度合いなど
フィジカルアセスメントが必要な要素がたくさんあります。
経験上、
言語表出に何かしら問題のある方の呼吸は浅く早い傾向にあり、
少し動いたりしゃべったりするだけで「肩で息をしている」ような特徴があります。
これに対して、
「リラックスして!」
「肩の力を抜いて!」
と表面的なアドバイスなすることは簡単ですが対象者はそれが出来ない訳ですね。
もしあなたがセラピストであれば、
呼吸補助筋の努力量を抑制する技術が必要かも知れません。
例えば、
首筋の筋肉の代表格とも言える胸鎖乳突筋が常に浮き上がっているような場合、
いつも首が張って疲れやすいでしょうし、首の動き自体もかなり制限があります。
そこで、
胸鎖乳突筋のてっぺんの辺り(耳の後ろの頭蓋骨との境目)を軽く圧迫して再び首の動きをしていただきます。
すると、
「動きが増えた」と感じることがよくありますので、その刺激がそのまま胸鎖乳突筋の緊張を抑える手段として利用できます。
セラピストの仕事は患者さんの利益につながる戦略を選択することですが、
目先の現象にのみとらわれず、別の側面から問題を眺めるという思慮が出来ているでしょうか。
なお、失語症の訓練について言及している記事はコチラです。
興味がありましたらどうぞ。
今日は、痛みというよりも純粋な医学的リハビリテーションについて言及させていただきましたがいかがでしょうか。
リハビリテーションとは自然科学だと、以前教わったことがあります。
自然界に起こる現象に対して、その本質を推論し仮説を立て検証する。
そのような作業の連続が病理から脱却する戦略になり得るのだ
という考え方。
難しい表現になってしまいましたが、常に私が臨床において考えていることです。
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脊柱管が狭いという現象にとらわれず筋筋膜性のトラブルを見極める
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脊柱管狭窄症について、前回から記事にしています。
加齢や肉体労働などをきっかけに脊椎の構造が変化することで、
その中を通る脊髄が圧迫され様々な不具合が生じるのが脊柱管狭窄症という病名です。
ただし、
運動障害(麻痺、脱力感)や感覚障害(脚の感覚が鈍くなる)という問題は生じても、
「痛みやしびれ」といった問題はどこからくるのか?
全ての問題を「脊柱管が狭くなったせい」にするのではなく、
筋筋膜性の機能障害の可能性を考慮することで、
少なくとも本人の抱える苦痛を緩和する適切な運動療法が提供できるかもしれない
というお話でした。
さて、
いつものように実例を交えて脊柱管狭窄症の方のリハビリテーションについて考察していきます。
その方は数年前から脚全体が痺れており数100m歩くにも休憩が要るという、
典型的な間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状が出現していました。
整形外科や整体にはさんざん通ったけれども特に改善の兆しはなく、
それでも根性で農作業はこなす、
と非常に健康寿命が危ぶまれるような状況にあります。
初見の時点でいかにも辛そうな歩きっぷりであったため、
全身の緊張が慢性的に高く常に身体を固めて動いていることが見て取れます。
人間の身体は基本的に伸筋よりも屈筋が優位であるため、
身体構造にトラブルが起こると軒並み屈筋が優位に作用し背中を丸めて防衛的な姿勢を取る傾向になります。
そして、
1つの筋肉(骨格筋)はどの部位であろうとも伸びる・縮むという2通りの動きしかしませんが、
どちらか一方に偏る(縮みっぱなし・伸びっぱなし)ことで筋肉自体に栄養を届けている血管や神経を締め付けることになります。
これらの原理原則的な考え方に基づいて病態を考慮すると、
長年の肉体労働から骨関節の構造変化をきっかけに、
伸ばす筋肉よりも曲げる筋肉の活動が相対的に高まり姿勢制御が破綻した状態
と見なすことができます。
※姿勢制御についてはコチラ↓
ここで言う姿勢制御とは、重力に逆らって身体を持続的に直立位に保つ筋肉のことを指します。
中でも、大殿筋は筋自体の面積が非常に大きく強い収縮力で身体を支える筋肉であるため、前傾姿勢を取りがちな患者さんがトラブルを抱えやすい部位です。
この方に身体を捻る動作や腰を反る動作をやってもらうと、
驚くほど動きが少ない上に脚のしびれが強くなる
という現象が起こります。
それに対して、
大殿筋の特定の部位に外から圧迫をかけた状態で同様の運動をしていただくと、
「さっきより動きがよくなった」
「痛みやしびれた感じが減った」
などの変化が生じます。
つまり、
姿勢をつくる上で重要な大殿筋がバカになり、
下流である大腿部~足部への血流障害や神経絞扼(締め付けること)を起こしていた可能性を大いに疑います。
他にも問題はあるのですが、骨盤という土台を整えることを優先課題としてエクササイズを提供していきます。
年単位で運動機能が低下している状態なので決して改善のペースは速いとは言えませんが、
リハビリテーションのテーマが定まることで明らかに痺れる範囲が狭くなり今まで痛みのため困難だった「あぐらをかく」という動作が出来るようになってきました。
肝心の歩行はというと、
農作業後など疲労時でなければ「歩こうという気になれる」
と、徐々に適応しつつあります。
というかパッと見た感じの辛さがかなり改善している。
世間的には「痛い・痺れる」という現象は病院で診てもらうもの
薬で押さえ込むもの
という認識がまだまだ強いです。
もちろん急性症状で投薬や手術しか選択肢がない場合もたくさんあることは十分に分かっています。
ただし、
適切なフィジカルアセスメントによって解決出来るものも少なからずある
ということも徐々に認知されていけるよう、
微力ながらこうして発信し続けていこうと思います。
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脊柱管が狭窄しているからしびれは治らない…のか?
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突然ですが、
あなたは「脊柱管狭窄症」という病名に対してどのようなイメージをお持ちですか?
身体の大黒柱である脊椎は生きている限り重力に曝されて、加齢とともに変形していくことで姿勢や歩き方に影響を与えます。
最もよく聞く問題は、
「歩くと足が痺れて力が入らん」
「ちょっと歩いたらしばらく休まんとどうにもならん」
「寝とっても足が疼いてくる」
といった症状。
これらの現象を抱えた対象者に対して、我々セラピストが何を指導するのか?
ということについて考えていきます。
病院では医師の方針が全て(に近い傾向にあるのは確か)であり、
リハビリテーションを依頼されると
「とにかく歩かせろ」
「力をつけさせろ」
と何度となく指示されてきました。
それに従わないと
「なぜやらないんだ!?」
と揉め事になり、セラピストの仕事はただの「作業」になっている。
したがって、
もはやリハビリの目的は痛み止めで身体をだまして「連続で何m歩けた」という事実を積み重ねることにフォーカスする。
少なくとも私が見てきた現場は典型的な「辛いリハビリ」でした。
前置きが長くなりました。
ここでは、
「脊柱管が狭くなったから脚がしびれる」
という「常識」について考察していきます。
そもそも脊柱管とは 背骨の一部で脊髄神経が走行する空洞のことです。
加齢やライフスタイルによって骨の構造自体が変化することで、脊柱管が狭くなり脊髄を圧迫する
それによって痛みやしびれ、歩行障害などの神経症状が起こるという理屈です。
ある研究によると、
神経を圧迫することで生じるのは「運動障害」と「感覚障害」だといいます。
運動障害とはいわゆる「麻痺」で、意思に応じた筋収縮がコントロール出来ない状態のことです。
感覚障害とは一般的に感覚が鈍い、または脱失(なくなる)の状態を指します。
この理論に従うと、
本当に「しびれ」「痛み」「疼く」という症状は神経の圧迫だけによるものだろうか?
という疑問が発生します。
脊柱管が狭くなることで脊髄神経を圧迫すると、確かに運動機能や感覚にトラブルが生じやすくなる訳ですが、
そもそも骨の構造が変化するほどの機械的なストレスに晒され続けてきた
という、その方のライフスタイルが背景にあります。
具体的に言うと、
肉体労働を長年続けてきた方の骨盤や肩甲帯は柔軟性を失い、関節の可動性が制限されているケースが非常に多く見られます。
関節の柔軟性を左右するものは間違いなく筋肉です。
細かい構造はともかく、
一つの筋肉は筋繊維だけでなく神経や血管が無数に入り組んだ集合体であることが分かります。
筋疲労が慢性化すると、
筋繊維の柔らかさがなくなり、筋肉内部の神経や血管を圧迫することで筋肉自体の血行障害が発生します。
つまり、
脊柱管が狭くなったことで運動障害は起こりやすいものの、痛みやしびれという症状は筋肉そのもののダメージが影響している可能性があります。
ダメージを起こしやすい筋肉とは、
やはり 荷重に晒される殿筋や広背筋、脊柱起立筋などの抗重力筋であることが多い印象があります。
それに対してどのような評価や運動療法を提供していくか?
次回に続きます。
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結局、ギックリ腰にならない身体づくりは可能なのか?
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少し更新の間隔が開いてしまいました。
シリーズでお送りしています、
ギックリ腰のリハビリテーションについての考察ですがいかがでしょうか。
言い換えると「筋膜性のねんざ」に伴う急性症状が出ている段階では、
不安定な体幹を保護するために意図的に身体を固めた状態にあり、
殆どの方がまともに体幹を使える状態にありません。
したがって、
動作を分解する=部分的な関節運動 を指標に、
外から安定を付け足すことで痛みや可動性に変化が生じるかどうかを鑑別する必要性
について語っていきました。
そうは言ってもやはり安静が優先であることに変わりはありません。
中には横になっているよりも座っている方が楽だ
という方もいらっしゃいます。
治療をするにしても安静に過ごすにしても、
コロコロと姿勢を変えることは全身運動を強要することになるため
オススメしません。
極端な話、
立ったままの方が楽なら立ったまま治療する方が効率的なこともあります。
実はつい先日、
このテーマにピッタリ当てはまるお客さまが来店されました。
元々腰痛を抱えながらゴルフをされている方はたくさんいらっしゃいますが、
付き合いで18ホール回ったそのお客さまはプレー中からすでに症状が出始め、
翌日には案の定、
日常生活に支障を来たすレベルの急性腰痛を発症されたようです。
仕事も気合いでどうにか乗り切ったものの、
まともに立てない、歩けない
というほぼアウトなやつです。
「寝るとめっちゃ痛い」
「立つ時も座るときもピキッとくる」
「座ってる方がまだマシ」
ということで、
治療に当たって姿勢の難易度は
座位⇒立位⇒臥位
の順に難しくなるという構図が成立しますし、
姿勢変換がスムーズに行えるだけの身体の余裕をつくる
ことを目標にアプローチする必要があります。
例えば城を攻め落とすとき、
いきなり天守閣を狙えば当然返り討ちに遭います。
無力化出来そうなところから徐々に本丸に近づいていき、
最終的に目標に到達する
という戦略やプロセスは疼痛治療においても非常に重要になってきます。
そういう意味では、
損傷の引き金になったであろう機械的なストレスを蓄積した荷重関節・クラブを振り回すことで生じた肩甲骨の疲労の程度
など、
「腰」以外の要素にも着目することが如何に臨床上価値のあることかがお分かりいただけると思います。
このお客さまも、
身体の原理原則に従って病理を探っていくと問題が多岐に渡って観察されます。
そして、
このケースの最も厄介なのは姿勢を切り替える瞬間の激痛です。
以前、コア・スタビリティについての記事を紹介しました。
身体の土台である下腹部はインナーマッスルが適切に機能することで上半身を支えながら移動動作を安定させるスタビライザーとして機能しています。
全身が疲労した状態では「支える」という重要な機能が低下しており、
アウターマッスル優位に活動しがちになります。
早い話が
下腹部の筋肉=「自然のコルセット」がバカになっている
ということです。
それらに対して、
外から徒手的に圧をかけてコルセットの機能を高めると、
「立ちやすくなった」
「ベッドに脚が上がりやすくなった」
という変化が適切な手順を踏まえることで生じてきます。
後は
その部位の緊張を取り除く
働くべきポイントは働かせる
という作業です。
最終的に、
症状が0になることはないものの背筋を伸ばして歩ける程度には改善し、立ち座りの時の症状もほぼ消失しました。
そろそろまとめに入ります。
ギックリ腰は全身の筋疲労によって筋膜性のねんざを引き起こした状態であると
言い換えることが出来ます。
病態としては、
損傷した部位を守るために全身の筋肉の緊張が上がっているわけですが、
急性症状が出るまでの身体活動のエピソードが非常に重要です。
リハビリテーションを提供する際は、
損傷に至った経緯を考慮しつつ動作を分解して、最終的に身体の土台が機能する状態に整えていく作業を取捨選択します。
ここで言う「整える作業」とは、
やみくもにマッサージをするという意味ではなく歪みを起こしている筋組織を緩めて「伸びた」「柔らかくなった」と感じられる状態にもっていくことです。
深呼吸をしていただくと表面の筋肉は比較的緩みやすくなり、広背筋や胸腰筋膜が弛緩します。
息を吐いた時にこれらの筋肉を引き締めるように圧をかける動作を繰り返してみるのもいいでしょう。
患者さん自身が、自分の手を腰に当てて、呼吸に合わせて親指の先を広背筋と胸腰筋膜の境目辺りにゆっくりと沈ませるようにすれば(図中 矢印の辺り)セルフメンテナンスができます。
いずれにしてもギックリ腰の急性症状に対しては、
非常に緻密な仮説-検証作業が不可欠になります。
実際に対象者を診たセラピストとして、
「こうしたら良くなります」
という安易なアドバイスは出来そうにありませんが、
適切なフィジカルアセスメントを繰り返すことである程度の範囲で改善へとガイドすることができます。
そして、
元々身体が柔軟な方ほど局所的なストレスを蓄積することなく「逃がす」ことが上手な傾向にある
ということも付け加えておきます。
と何となくまとめたところで、
ギックリ腰編をとりあえず終わろうと思います。
また新しい発見があればご報告します。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
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