脊柱管が狭窄しているからしびれは治らない…のか?
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突然ですが、
あなたは「脊柱管狭窄症」という病名に対してどのようなイメージをお持ちですか?
身体の大黒柱である脊椎は生きている限り重力に曝されて、加齢とともに変形していくことで姿勢や歩き方に影響を与えます。
最もよく聞く問題は、
「歩くと足が痺れて力が入らん」
「ちょっと歩いたらしばらく休まんとどうにもならん」
「寝とっても足が疼いてくる」
といった症状。
これらの現象を抱えた対象者に対して、我々セラピストが何を指導するのか?
ということについて考えていきます。
病院では医師の方針が全て(に近い傾向にあるのは確か)であり、
リハビリテーションを依頼されると
「とにかく歩かせろ」
「力をつけさせろ」
と何度となく指示されてきました。
それに従わないと
「なぜやらないんだ!?」
と揉め事になり、セラピストの仕事はただの「作業」になっている。
したがって、
もはやリハビリの目的は痛み止めで身体をだまして「連続で何m歩けた」という事実を積み重ねることにフォーカスする。
少なくとも私が見てきた現場は典型的な「辛いリハビリ」でした。
前置きが長くなりました。
ここでは、
「脊柱管が狭くなったから脚がしびれる」
という「常識」について考察していきます。
そもそも脊柱管とは 背骨の一部で脊髄神経が走行する空洞のことです。
加齢やライフスタイルによって骨の構造自体が変化することで、脊柱管が狭くなり脊髄を圧迫する
それによって痛みやしびれ、歩行障害などの神経症状が起こるという理屈です。
ある研究によると、
神経を圧迫することで生じるのは「運動障害」と「感覚障害」だといいます。
運動障害とはいわゆる「麻痺」で、意思に応じた筋収縮がコントロール出来ない状態のことです。
感覚障害とは一般的に感覚が鈍い、または脱失(なくなる)の状態を指します。
この理論に従うと、
本当に「しびれ」「痛み」「疼く」という症状は神経の圧迫だけによるものだろうか?
という疑問が発生します。
脊柱管が狭くなることで脊髄神経を圧迫すると、確かに運動機能や感覚にトラブルが生じやすくなる訳ですが、
そもそも骨の構造が変化するほどの機械的なストレスに晒され続けてきた
という、その方のライフスタイルが背景にあります。
具体的に言うと、
肉体労働を長年続けてきた方の骨盤や肩甲帯は柔軟性を失い、関節の可動性が制限されているケースが非常に多く見られます。
関節の柔軟性を左右するものは間違いなく筋肉です。
細かい構造はともかく、
一つの筋肉は筋繊維だけでなく神経や血管が無数に入り組んだ集合体であることが分かります。
筋疲労が慢性化すると、
筋繊維の柔らかさがなくなり、筋肉内部の神経や血管を圧迫することで筋肉自体の血行障害が発生します。
つまり、
脊柱管が狭くなったことで運動障害は起こりやすいものの、痛みやしびれという症状は筋肉そのもののダメージが影響している可能性があります。
ダメージを起こしやすい筋肉とは、
やはり 荷重に晒される殿筋や広背筋、脊柱起立筋などの抗重力筋であることが多い印象があります。
それに対してどのような評価や運動療法を提供していくか?
次回に続きます。
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