週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

NHKでも「リハビリ難民」が話題になった話。

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

 

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくおねがいします。

 

新年1発目の記事は、一年以上前に書きかけて何故かお蔵入りしてしまった記事をリニューアルして投稿する事にしました。

 

 

リハビリ難民とは

 

最近は、TVや新聞でも「リハビリ難民」というワードを見聞きするようになってきました(自分がそういった情報にアンテナを立てているから、かもしれませんが)。

例えばこんな記事↓

 

www.nhk.or.jp

 

pt-renmei.jp

 

色々と目にする記事を要約すると、大体こんな感じの内容がメインに載っています。

 

医療保険が適応される病院リハビリは脳卒中で180日、外傷で150日

・リハビリを受けたくても受けられない「リハビリ難民」は約200万人に上る

・病院を退院するとその後の受け皿がなくなるため、リハビリ難民は増える一方

・彼らを対象とした「保険外リハビリ」を提供する団体が増えてきている

・高額の料金と引き替えに、彼らのニードに応え本当の意味で社会復帰を支援する

 

etc・・・ 

 

天下のNHKでも取り上げられるくらいですし、
そもそも日本は長寿大国=介護問題が蔓延化していることは今さら言うまでもないですよね。

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現代医療の抱える問題 

 

これまで「リハビリ」というものに縁の無かった方から見れば、

・医療は病院で受けるもの

・医者がこれ以上はよくならないと言ったらそれまで

保険診療の「期限」が来れば最後

という認識を持たれるかも知れません。

 

しかし、

我々セラピストには「個の力」という揺るぎない差があります。

 

現代医療において、

大部分の病院で行われるリハビリの目的は家に帰すことです。

この言葉だけ聞くと、特に問題ないように感じます。

 

しかし見方を変えると、

麻痺や運動機能の制限が残存しても生活能力さえ獲得させれば病院的にはオーケーなのです。

極端な話、

「片手でもこうすれば日常生活が送れるでしょ?だからあなたはもう退院しなきゃいけません。こっちの手が動かないのは残念でした」

となります。

というか、私自身も技術のなかった昔はほぼ同じ台詞を言っていました。

 

その後の生活・社会活動については

介護保険=デイサービスや訪問看護を利用しましょう

障害者年金=就労出来そうになければ年金をもらいましょう

といった具合に、

如何に入院期間を減らすか、回転率と自宅復帰率を増やすかという、

見事に組織の一歯車として機能していた頃がありました。

 

また、診療報酬というシステムには、

どこで誰がどんな治療を提供しようとも(年齢による負担割合は別として)「一律料金である」という、いいように見えて致命的な欠陥があります。

 

誰がやっても料金が一緒なら

医療者自身が危機感や向上心を保ちにくい

という傾向が間違いなくあるということ。

 

したがって、医療機関の方針や教育体勢は様々ではあるが

・患者自身が自分の訴えに応えてもらっていると感じない

・今受けているリハビリはつまらない(もしくはやたらと疲れる)

・効果を感じない(むしろあちこち痛くなる)

現場レベルではこのようなジレンマが生じる例が決して少なくありません。

 

 

もちろん、これまで見てきた中でも優秀だと感じるセラピストは何人もいました。

しかし、どうしても組織の中で我を通すには無理がある。

 

私が病院を去った理由はそこなのですが、

組織レベルで患者のニーズにとことん向き合おうとする変態集団(?)が近年になって増えてきました。

それが「保険外リハビリ」です。

www.chunichi.co.jp

 

QOLを高めるための選択肢

 

これらの施設では、高額な報酬(保険診療では国が支払う割合を全て個人が負担するという意味では正当な対価)と引き替えに、

何かしらの専門分野に特化したセラピストがクライアントの抱える問題の本質を見極め、具体的な目標(例えば1ヶ月後にはコップに手を伸ばすときの肘の角度を調節できる、とか努力感のない立ち上がりができる、など)を立て、毎回のように戦略を練り常に危機感と緊張感を持って日々の診療を行っています。

 

私自身もそのようなスタンスで週末の仕事に取り組んではいますが、今の立場では所詮片手間程度ですし、まだまだ未熟だったと思い知らされることも多々あります。

なので、今も保険外診療一本で生きているセラピストは本当に尊敬する。

 

そして、

これからはそういったセラピストが正しく選ばれ危機感のないものは淘汰される時代になるべき。

 

国は医療費を削減しようと毎年法律を改正することに必死だが、

そもそも「質」に関心を向けていない時点でイタチごっこにしかならない。

 

クライアント自身も、

正しい目を持ち適切な投資をすることが結果的に将来のしかかる介護負担やQOL(quallity of life=人生の質)に貢献することになる

可能性に1人でも多く気付いて欲しい。

 

そして、

身近な人や自分自身がそのような立場になったとき、目の前の「医療」について自分の意見をしっかりと持ち、こんな選択肢もあるということを覚えておいて欲しい。

 

 

そんな話題を、1年越しに紹介させていただきました。