リハビリを受ける人全てに目的がある訳じゃない。
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お久しぶりです。
いつの間にかお客さまから心配されるほど疲労が顔に出ていたようで、休める時にちゃんと休まないと・・・
な今日この頃です。
ま、それはともかく・・・
今日は私の非常勤先である、老人保健施設での一コマを記事にします。
いわゆる「デイサービス」と呼ばれる、
介護保険で要介護・要支援認定を受けた高齢者が集まり、日中の活動や他者と交流するサービスを提供するこの施設では、
デイサービスの時間内で利用者の方に個別に「リハビリ」を実施する時間も設けられています。
対象者は要介護認定を受けている方ばかりですから当然何かしら身体に問題を抱えており、
脳卒中や外傷に限らず、「歳のせい」からくる腰痛・膝痛・肩こり・・・
それはもう多彩です。
そして、
明確な目的を持ってリハビリテーションに参加する方もいれば、そうでない方も少なくない訳です。
なぜリハビリにあまり積極的でない方が多いのか?
それについてこの数ヶ月で感じたこと。
・利用者の多くは数(十)年来痛みや不調を抱えたまま過ごしている
・いい意味でも悪い意味でもルーチンワークが慢性化し、メニューをこなすだけになっている
・利用者自身が変化を感じないため、参加する価値も感じられないでいる
最初はどうにかしたいと思っていても、やがて「やっぱりどうにもならない」と落胆し考えることをやめてしまう
⇒筋トレはしんどいがとりあえず揉んでもらったら痛みが少し和らぐ
⇒「ここを揉んで下さい」
などと受動的な目的にすり替わっていく
のが現状のようです。
つまり我々に対する利用者の認識は「揉み医者」「マッサージ屋」と遜色ない。
・・・大変マズい状況です。
ある利用者のリハビリを依頼されたとき、
その方は「指が曲がったまま伸ばせない」という慢性的な問題を抱えていました。
しかし、その方は
「もうさんざん使ってきたからしょうがない、あと何年も生きちゃおらんし諦めた」
と、発言を聞く限り問題解決への意欲がない状態でした。
私がここで仕事をするずっと以前から通われている方ですが、「揉んでもらったら脚が少し楽になるからそのくらいはお願いします」
という意識が定着していました。
もちろん「楽になる」という感覚はとても重要なのですが、何かが違う。
そこで質問をしてみます。
私「やっぱり指が動いてくれた方がうれしいですよね?」
⇒「そりゃうれしいけど、もう長いことこのままでどうにもならんのよ。病院に連れてってくれる言うけど、病院は行きたくない。もう諦めます」
私「では、もうこの手には一切触れないようにして脚だけ診てみますね」
⇒「先生、そう言わんと何とかして下さい!」
・・・ちょっと意地悪な問答になってしまったかもしれませんが、そのおかげで本人の最も深いニーズを拾い上げることができました。
指が伸びないという現象は、
言い換えると指を伸ばす筋肉の働きがバカになっている
ということ。
指を伸ばす筋肉=総指伸筋は肘から指先までの長いひと繋がりの筋肉ですので、
指の運動に症状があったとしても肘から指までのどこにトラブルがあるのかを鑑別する必要があります。
経験上、筋肉の出発点や最も筋肉が太い部分に滑りにくさや緊張が生じやすいという特徴があります。
すなわち、指の伸ばしにくさを解決するために肘の周囲の滑りをよくする
という作業を評価の下に選択します。
1分後、
もう一度指を動かしていただくと
「先生、指が伸びるようになりました!」
と数年間伸びなかった指が広がっています。
この変化をきっかけに、「また次も来ますからお願いします!」と別人のように活き活きと帰って行かれました。
このエピソードから、
慢性化した問題であっても我々は常にロジカルな思考の下、主観的なレベルで結果を出していくことが求められるのです。
それによって対象者は目的をはっきりと持ち、漫然と与えられた物を受け取るだけでなく能動的に行動し自分から環境に関わろうとする。
全ての対象者に思い通りの成果をもたらすことは実際には困難かもしれませんが、
少なくとも訴えに対して柔軟に思考できる引き出しを備えておかねばならないということですね。
極端な話、
ある程度自然回復する急性期と違って症状の固定された慢性期ではコチラの技量が全てです。
そのような空間で、もう暫く自分の刃を研ぐことに集中していきます。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
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