週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

リスクを回避する

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・・・よく考えたら、

「疼痛」ってあんまり日常的な表現でないので、

自分のUSP(Unique Selling Proposition≓独自性)の表現方法について少し疑問を抱き始めました。

 

その道のプロフェッショナルと認識していただければ幸いですが、 

とりあえず他の表現が見つかるまではもう暫くこのコピーでいきます。

 

 

 

以前もこんな記事を書きましたが・・・

toratezza0316.hatenablog.com

 

実は、

技術や意識の高い理学療法士作業療法士が病院を飛び出して水面下で活動する時代がやってきています。

 

主な理由としては、

・病院の方針と自分の価値観が合わない

・給与収入に限界を感じる

・専門性を生かしてもっと自由な形で社会貢献がしたい

 

等です。

 

 

確かに、

病院に所属している限りは様々な制約があり、

ドクターの指示がなければ何一つ仕事ができないのが本来の我々の姿です。

 

 

西洋医学のど真ん中である病院は、

医者の診断が全てであり患者さんの声が我々まで届くことが少なく、

それに疑問を持つセラピストが増えてきました。

 

 

「年のせい」と一括りにされた腰痛を「私なら改善へ導くことができる」

という商品力を武器に、

いわゆる「整体院」として価値を提供している知り合いが何人かいます。

 

 

 

ここ尾道ではどうかというと・・・

 

 

いません。 

 

 

そもそも田舎って病院絶対主義的な部分が特に強く、

一般の方にとって代替医療という分野の敷居が高いな、と感じています。

 

 

しかしそんな田舎にも、

いや田舎だからこそ受け皿がなくて痛みに悩んでおられる方がたくさんいる。

 

 

 

今日、仕事中に患者さんからふと尋ねられたことがあります。

 

脳梗塞は防ぎようがないものなの?」

というニュアンスの質問。

 

 

その方はいわゆる五十肩の患者さんで、リハビリテーション卒業間近の方ですがご自身の健康に関心を持たれています。

 

 

肩と頸の筋肉は必ず連動してるので、

肩が損傷して機能しなくなるとほぼ間違いなく首の緊張を招きます。

 

首が緊張して血行障害を起こすと、

頭部に様々なトラブルを発生させます。

 

つまり、

肩こりが慢性化したことで目まいや頭痛、自律神経症状などが生じることが実際にあるのです。

 

 「脳梗塞」もその延長に見え隠れしてくるわけですから、

たかが肩こり

と舐めていると、恐ろしい問題に発展しかねないということですね。

 

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対策としては、

原因である肩・頸の緊張を取り除くことでリスクを減らせるのですが、

「マッサージ行ったら余計痛くなった」

という経験があるそうです。

 

硬いところ、痛いところをグイグイ押されればそりゃ余計痛くなりますよね・・・

 

 

正しい視点で身体の不調をアセスメントし問題解決へと導ける専門家がおらず、

「とりあえず揉みほぐします」的なお店ばかりが増えている

ことが本質的な問題なわけです。

 

 

あなたがご自身の健康寿命について真摯に向き合うときの窓口

として自分が機能できることが私の目標の一つです。

 

 

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

 

痛みと脳の関係を知る

 

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私は毎日「痛み」について考えているのですが、

このブログを読んでくださっている方は、

ひょっとしたら私のことを筋肉バカと認識されているかもしれません。

 

以前も紹介しましたが、

実は私はこれまでのセラピスト人生において「脳」について学ぶ時間の方が圧倒的に長く、

その延長で「痛み」という対象者が今すぐ何とかしたい問題にフォーカスしていくようになりました。

 

そう、昔はこんな記事を書いていました。

 

ameblo.jp

私にとってすでにお蔵入りになりつつあるサブブログの、かなり前の記事です。

 

要約すると

痛みとは「不快な経験」のことで、

何かしらのダメージによって引き起こされるのは当然なのだけど、

損傷が治癒した後も脳の中の感覚や情動、記憶を司る各部位に不快な経験は蓄積されており、

脳が記憶した痛みが慢性化することで運動や感覚を麻痺させることがある

 

というものです。

 

 つまり、

脳に作られた「誤った情報」を正しいものにしていく作業が

疼痛のリハビリテーションである。(具体例はこちら↓)

 

ameblo.jp

 

この記事を書いていた頃と今では用いる戦術がなり異なっていますが、

慢性化している痛みに対してこれまでとは異なる感覚を提示し、

「不快な経験」から「心地よい経験」に変化することで

脳が感じ取っている情報を上書きして修正していく

 

そのような目的・戦略を共有しつつ「最適な戦術」をいつも考えているわけです。

 

 

 

手首の筋腱・神経を損傷したある患者さんは

幸いにも損傷した組織の問題は改善しているものの緊張や手の痛みが長期化し、

「他者が手に触れる」という行為自体が不快なものであった時期がありました。

 

損傷した部位から、

手首や指の機能が破綻しやすいことは想像できると思いますが、

「しっかり動かしなさい」

と医者から言われたところで、そもそも不快なものを使おうと思わないのが人間です。

 

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 この気持ちの悪いイラスト、

医療者なら一度は見たことがある「脳の中のコビト」です。

 

ざっくり言うと繊細な場所ほど脳に占める(影響を与える)割合も大きい

ということです。

 

 

手は「第二の脳」と言われるほど精密さが問われる部位です。

 

物に触れるという行為は、

物の感触を感じ取るという作業と言い換えることができますが、

まともに感じ取れない状態ではただ動かせという助言は非常に無責任です。

 

そこで、

損傷していない肩や肘に目を向けていきます。

 

何度か申し上げたように、上肢の土台は肩甲骨です。

たとえ指の損傷であっても、それによって身体が強張った状態を暫く続けていると身体の軸が変化してくることが想像出来るはずです。

 

そして、

指と筋膜的な連結のある肩甲骨を操作していくと

「小指の辺りがビリビリします」

「嫌な感じじゃないです」

「肩も張ってますね」

的な感覚が入って来るのです。

 

 

これを利用して、

セラピストが一切指に触れることなく指の動きを内側から感じ取ってもらう

 

→脳に手が動く感覚を思い出してもらう

 

→上肢全体の緊張が抑制されて動く準備ができる

 

という戦略が成立します。

 

 

つまり、こんな感じで↓ 

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痛いのを堪えて一生懸命関節を曲げ伸ばししなくても

指の動きが改善してくる

という結果がもたらされます。

 

 

痛みを抱えた対象者に、

この戦略があるのと無いのでは結果が大きく異なります。

 

なぜなら、

表面的な動きだけ追い求めても患者さんは結局痛みしか入力されず

「この手を使いたい」という気持ちにならないからです。

 

結果、

リハビリにいつまでも依存している

という評価を下され

「患者が悪い」

「もう変わらないから打ち切りにしましょう」

という流れになります。

 

 

もし、

あなたの周りにそのようなお悩みを抱えている方がいらっしゃれば、一度お気軽にご相談いただければと思います。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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坐骨神経痛はどうにもならない?

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毎日色々な痛みを抱える方と向き合っていく中で、

目に見えて良くなってくる方もいればその場ですぐ変化が出せない方もいて、

まだまだ自分の修行不足を感じてしまいます。

  

ただ、私もかつて師匠から

「どれだけ自分の商品力を高めてもどうにもならない人もいる」

と教えられたように絶対はない

ということも肝に銘じていかなければなりません。

 

 

さて、

先日(職場で唯一支持してくれる)後輩から

坐骨神経痛って徒手的に治せるものなんですか?」

という疑問を提示されました。

 

そういえば過去の私も、

坐骨神経痛など「出来れば当たりたくない」症例の代表格でしたし、

作業療法士だからそんなんあんまり関係ないし」

と、問題から目を背けていた時期が確かにありました。

 

 

 というわけで、坐骨神経痛について症例を通して真面目に考えていきます。

 やや長文になりますが最後までお付き合いください。

 

 

なお、

この問題については皆さんもご存じかも知れませんが、

病院で診察を受けても原因が分からないことが多く(というかほとんどの場合)

「年のせいですね」

「脚をストレッチしなさい」

「痛み止め出しときますから」

のパターンになっています。

 

 

肩の骨折で通院している80代の女性は、

とりあえず利き手として使える程度に腕の運動機能は回復しました。

 

しかし若い頃から畑仕事で身体を酷使してきた女性には慢性的な筋疲労や骨関節の変形・摩耗など多くの身体構造上の問題がベースにあります。

 

 

緊急で重要な「肩」の問題がある程度落ち着いてくると徐々に訴える内容が変化してくるわけですが、

特に数年来抱えている坐骨神経痛について口にされるようになりました。

 

具体的には

両方痛いけど特に左の腿の裏がしびれたような感じ

で、

何年も電気当てたり温めてもらったりしてる

 

と、

どこかで聴いたことがあるような訴えです。

 

 

もう少し掘り下げて尋ねていくと、

肩を骨折してから以前よりも背中が曲がったような感じがする

仰向けになるときに特に腰が痛い

 

この方は高齢ですが気持ちは若く

会話や仕草から「人に見られる」ことを意識しているのが伝わる女性らしい方です。

 

 

 あなたがもしセラピストなら、

「梨状筋(りじょうきん)」という筋の存在を知っているはずです。

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私がこのような症状の方の治療に当たるとき、

まずどの筋肉が神経を絞扼(圧迫)しているのか

を鑑別していきますが、

そのとき優先的な容疑者として浮上するのがこの梨状筋です。

 

見ての通り、

坐骨神経の通る狭いトンネルを一緒に走っているわけですから、

梨状筋が何かしらのトラブルによって硬くなっていれば

動いた時に坐骨神経を圧迫して神経症状を引き起こす

ことが想像できるかと思います。

 

この梨状筋を正確に捉えることができると、

対象者に何かしらの反応が出現します。

 

今回の場合、

私が対象者の梨状筋を捉えたまま身体を捻ってもらうと

「いつもよりよく回る」

という現象が観察されます。

 

つまり、

梨状筋の柔軟性を一時的に獲保して骨盤に関連した運動をするとパフォーマンスがその場で変化するという現象が起こる訳です。

 

この結果から、

長年に渡りこの方を悩ませていた坐骨神経痛の正体は梨状筋のトラブルである

と特定する事ができました。

 

したがって、

解剖学に準じた梨状筋の柔軟性を底上げするエクササイズが選択されます。

 

 

 

しかし、まだ問題が残っています。

 

肩の外傷を契機に、

背中が曲がりやすくなり寝転ぶと痛い

という問題に対しては、まだ別の原因がありそうです。

 

外傷後に姿勢制御が不良になったということは、

肩甲骨という土台の崩れが疑われます。(詳しくは↓)

toratezza0316.hatenablog.com

 

実際、

肩自体の問題も残っており腕の動きの出発点である肩甲骨のポジションも外側に脱落しています。

 

つまり、

肩甲骨の位置が崩れることで隣接する背中の筋肉(姿勢を保つ筋肉)が引き延ばされバカになっている

ことがもう一つの問題として挙げられます。

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したがって、

肩甲骨を正し位置に整えることで結果的に姿勢を作る筋肉が働きやすくなる

という仮説を基に治療を展開していきます。

 

 

実施後は、

その場で寝転んでも「痛くない」

「背筋が伸びるようになった」

「脚が軽くなった」

という変化が確かにもたらされ、神経症状は「消失」までいかないものの劇的に改善したのです。

 

 

静的支持機構(骨関節)の問題に拘らず動的支持機構(筋肉)の機能障害に焦点化して可能性を追求する。

 

そして、

慢性化した問題はある程度反復した治療が必要なこと

他にも問題が残っている場合もあるためその都度鑑別が必要なこと

セルフメンテナンスの重要性

 

をご理解いただき、

次回来院時どう変化しているかを問うことも重要です。

 

 

なお、

坐骨神経痛単体でリハビリテーションが処方されることはまれで、

今回のように他の問題の「ついでに」セラピストとして関われる機会が偶然やってくるというケースが多いです。

 

多くのセラピストが問題に蓋をしてとりあえず筋トレやストレッチなど、その場しのぎをしている現場を私は見てきています。

 

 

そんな現状に少しでも疑問をお持ちで、

対象者に価値ある治療を提供したい

そんな熱意のあるセラピストのため、

この場を借りて小さく宣伝させていただきます。

 

 

 

2017年6月18日(日) 9:30~12:30

筋骨格の機能障害を考える(上肢編)

 

と題したセラピスト向け(PT・OTの方が対象)のセミナーを開催します。

 

実技を中心とした実践的な内容を予定していますので、定員を6名とします。

場所は尾道市御調町)を予定しています。

なお、参加費・運営費としてお一人様5000円いただきます。

質問や参加希望などございましたら、お気軽にこちら↓までご連絡ください。

toratezza.0316@gmail.com

ご連絡いただいた方には、追って詳細をお伝えします。

 

耐震性と免震性

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このブログは、

元々痛みにお悩みの方に向けて発信し始めたものですが、

最近はセラピストの方も読んでくださる機会が増え、内容が少し専門的なものになりつつあるなと感じています。

 

さて、

再三に渡りリハビリテーションのあるべき形について語っていますが、

リアルな現場ではいかんせん窓際族です。

 

私一人で組織全体をどうこうするなどまず不可能ですが、

こうして読んで下さっている方や自分の手の届く限りの対象者に最大限の価値を提供することが務めだと思って、今日も動いています。

 

 

toratezza0316.hatenablog.com

 

↑以前にも身体を家造りに例えて語ったことがありますが、

もう一つ分かりやすい(あくまでも主観)例をご紹介していこうと思います。

 

 

建築基準法における「耐震構造」とは、

建物を固めて丈夫にすることで揺れないようにする仕組みのことです。

モノとして形を保つために必要な固さを、そのまま振動対策に用いた方法で、

最も簡便な地震対策として従来から利用されてきました。

 

ところが、

いざ地震が起こった時には建築物の揺れは上の階ほど強くなり、家具の転倒や壁にヒビがが入るなど、耐え切れず破損を招く要素が必ず露見します。

 

そして、

研究によって固めることだけが最善でないことが明らかになり、むしろ衝撃に対して「揺れる」「移動する」ことで被害を少なくする考え方が生まれました。

 

つまり、

「固めて動かないようにする」のではなく「揺れて衝撃を逃がす」ことで結果的に構造を守るという免震が普及しつつあります。

 

 

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この考え方が人体にも同様の作用をもたらす

と考えると、

 

どちらがより健康状態を良好に保つか?という質問に対して

言うまでもなく免震装置の機能している構造である

と断言できます。

 

 

そもそも人体は、

歩く時には下肢だけが運動している訳ではないし、

物を持つ時には上肢だけが働いている訳でもありません。

 

 

試しに腰から上を一切動かさずに歩こうとしてみてください。

どうしても小股になったり呼吸すらままならない、まるで患者さんのような歩き方になります。

 

つまり、

身体を固めたまま表面的な歩行や手を使うトレーニングを繰り返していくと

必ず衝撃が身体に蓄積し

「腰や膝が痛くなる」

「背筋を伸ばせと言われても伸びんよ」

的なギャップが生じてきます。

 

それを防ぐには、

土台の機能をどのように捉えるかが重要になってきます。

 

 

元々スポーツをされていた60代の体育会系のオジサンは

長期的な治療上安静を余儀なくされガリガリに痩せた状態でリハビリテーション処方されました。

 

運動以前に身体恒常性が破綻しており、

呼吸・循環・消化器官を制動していくことが優先事項でしたが(内臓系の治療についてはこちら↓)、

toratezza0316.hatenablog.com

 

それを改善した上でも筋原性の問題が明らかで

「寝返りのしかたを忘れた」

と非常に的を得た記述をされました。

 

この発言の裏には、

寝返りに必要な肩と腰の捻りを生み出す身体的な余裕がなくなり、

肩と腰(≒体幹)を一塊の物体としてしか扱えなくなってしまった

という背景があります。

 

従って、行為としての「起きる」「座る」「立つ」などよりも、

肩と腰を使い分け身体の柔軟性を確保することが次の課題として選択されます。

 

それによって結果的にパフォーマンスが改善すれば

いちいちセラピストが対象者を引っ張り上げたりしがみつかせて立たせるような必要もなくなる訳です。

 

正にこの方も、

「楽になった」ことで本来の動き方を思い出し動作が効率化するに至りました。

 

 

 

動けないという現象に対して何を優先するか

を見極められるか。

 

あなたがもしセラピストなら、

目の前の問題に対して耐震と免震どちらを目指しているのか。

一度問題や展望を整理してみるきっかけになればと思います。

 

 

 

膝が痛いのは膝の問題か?

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世間はGWですね。

いい加減な年齢になってくると、特別な外出よりも嫁の実家でのんびり過ごさせてもらうだけで十分になってきました。

 

 

今日は、

以前もお伝えした、腰痛に悩まされている親戚のおばあちゃんのエピソードを記事にします(以前の記事は↓)。

 

toratezza0316.hatenablog.com

 

90歳を超えてもマイペースで独り暮らしを満喫している妻の祖母は、

年末年始の時点で腰を支える殿部の筋肉の硬さが問題でしたが、

最近になってまた新たな問題が出てきたようです。

 

 

動き始め・歩き始めの膝や脛の痛み

フラフラとバランスが取りづらく何かに捕まりながらやっと歩いている

 

という問題を抱えており、

病院でレントゲンを撮ったところ

「背中の骨が歪んでいる、これは治らんです」

と言われたそうです。

 

そして、

やはり電気を当てたり足首や膝のマッサージに通っていました。

 

ただ、

前回と違う点は腰の痛み自体は主症状でなくなり、セルフエクササイズも習慣にされていた

ということ。

今回の帰省を機に、嫁の母親からお願いされてきちんと診てみることになりました。

 

 

祖母の家に親戚を交えてお邪魔している訳ですから、

「多くの証人がいる前で期待通りの結果を出す」

というかつてないプレッシャーに襲われながらも平常心を保ち、

いつも通りの仮説-検証作業を展開していきます。

 

 

「血圧の薬は飲むけど痛み止めは飲まないよ」

「特別腰が曲がったような感じはないよ」

「いつも痛い訳じゃないけど、夜起きてトイレに行くのが特にフラフラする」

「あんまり下痢も便秘も感じないけどね」

etc・・・

 

祖母の訴えは全国どこでもよく聞くような内容ですが、

年齢の割に薬は最小限で内臓系の負担はそうでもないのだな、

と分かります。

 

 

従って筋原性の問題を鑑別していくことに主眼を置きますが、

「フラフラする」=身体の中心に近い部位の問題を疑う必要がありますし、

脚が出ないという現象から、やはり股関節のトラブルを考慮すべきです。

 

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何度か紹介したように、

筋肉というものは繰り返し負荷がかかり柔軟性が失われてくると、

その部位のパフォーマンスは落ちそれ以外の部位で代償しようとします。

 

歩き方は当然人によって様々ですが、

高齢の方ほどメカニカルストレスが蓄積し局所的なダメージを逃がしにくくなります。

 

祖母の場合、

殿筋の筋疲労から柔軟性が低下した殿筋を中心に、筋肉同士の円滑な滑りが損なわれ(主に×印をつけた部位)股関節が機能しなくなっていた

 

その結果、

膝や下腿部の努力を余儀なくされた訳です。

 

つまり

(股関節)が制御されないまま下(膝や下腿)が働き過ぎる

というアンバランスな運動になっていたのです。

(実は前回アドバイスしたときには、「腰痛」がメインだったために骨盤上部のエリアしか確認できていませんでした。)

 

原因が分かればあとは滑りをよくしていく作業です。

 

 

実施後には本人を含めてその場にいた全員が「歩きやすくなった」と変化を感じ、

祖母は「ホンマに脚が軽くなった」と以前と同じように小走りでひ孫達の世話を焼き始めました。

 

 

セルフエクササイズを指導したあと、

私は自分の責任を果たすことができたことに、これまでで一番と言ってよいほど安堵しました。

 

一番嬉しかったのは、

妻の笑顔と「ありがとう」という言葉。

 

ふとこんな想いが自分の中によぎります・・・

 

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・・・井上雄彦先生すいません。

 

ただ、

自分の努力してきたことが認められる、報われるというのはすごく嬉しいです。

 

 

セラピストの究極的な使命はやはり、

対象者の健康寿命にどれだけフォーカスできるか

だと思っています。

 

私の商品にどれだけの価値があるのかを判断するのはあくまでも対象者ですが、

西洋医学のみでは一見解決出来そうにない問題に対して、

全力で向き合っていくことをお約束します。

 

そのための刃を研ぎ続けていくことも。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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楽に歩くために必要な要素とは?

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

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初めてご覧になった方、またいつも読んで下さっている方へも今一度ご案内しますが、

 

このブログの趣旨は、

世間的に誤って認識されがちな「リハビリテーション」のイメージを修正し、

読者の皆様に健康に関する価値ある情報をお届けする

そして

想像以上に多くいらっしゃる、腰痛や膝痛、肩・首のトラブルにお悩みの方が、

適切な治療を受けるきっかけを提供する

 

そのようなコンセプトで運営しております。

 

従って、

出来るだけ実例やかみ砕いた表現を用いて文章化する事を心掛けておりますが、

「この辺が分かりにくい」「こんなときはどうしたらよいの?」

など、疑問質問ありましたら遠慮なくコメントくださいね。

 

 

なお、

最近話が深掘り傾向でマニアックな情報になりつつあるので、

一度基本に戻って筋骨格系の問題に触れていきます。

 

 

 

 さて、

あなたは廃用症候群という診断名をご存じでしょうか。

 

外傷や麻痺がなくても、様々な病理から治療上安静を余儀なくされる、

または身体の脆弱性が顕在化することで日常生活に適応出来なくなった状態

を指します。

 

平たく言うと、

病的な水準で身体が鈍った状態

です。

 

臨床的には

「この人歩けなくなってるからしっかり歩かせて」

的なニュアンスで医師から依頼を受けます。

 

このとき、

セラピストが決して誤解してはならないことは

「歩く練習をする」のではなく

「対象者が歩きやすいと感じられる状態へ身体を誘導する」

ことです。

 

 

あるガン患者さんは、

数年前に脳梗塞を患ったにも関わらず頑なに「リハビリ」を拒んでおり、

ガンの進行に伴って元々の体力で補っていた部分も限界を迎え、歩き方以前に座り方自体、今にも倒れそうな拙いものでした。

 

廃用症候群としてリハビリテーションが始まり、

ご自身の気になるところを挙げていただくと

「足元が痺れるような感じ」

と仰るだけで、それ以外の問題には無頓着です(実際傍目には手足の動きは問題ありません)。

 

そこで、

「足部と機能的に連結している部位」に焦点を当てて触診をしていきます。

 

すると

明らかに骨盤の前方に抵抗を感じ取り、本人も

「うぉ、なんでそんなところが痛いんか」

と驚きを隠せません。

 

このような反応を示す方の多くが

DFL(ディープ・フロント・ライン)の機能障害を来たしており、

 

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このように末端に痺れや痛みがある背景には

体幹深層の組織の弾性が破綻したためにそもそも身体の軸が安定していない

という問題があります。

 

 

つまり、

ここで必要になる治療とは

足元の自覚症状から根本的な問題を鑑別し、

姿勢制御に重要な腸骨筋や横隔膜の機能障害を解決へと導くことです。

 

 

より深い部位の問題に対して筋膜の繋がりを使った伸張刺激を加えていくと

「すごく効いてます、気持ちがいいね」

と感覚が入り、

実施後は

「脚が軽くなった」

「スッと起きられるようになった」

という確かな変化がおこります。

 

専門的な表現をすれば

コアスタビリティが強化され姿勢や運動に伴う適応的な腹圧が制御されるようになった

 

という結果がもたらされた訳です。

 

 ちなみに、この方は

「リハビリなんて信用してなかったけどこれからはちゃんと訊きます」

と、以降信頼して頂ける分岐点となりました。

「信用してなかった」理由については、もはやご想像にお任せします。

 

 

診断名に拘らず現象から問題を鑑別する。

そして仮説-検証作業を介して根本的な原因の改善へとガイドするのが我々の仕事です。

 

 鍛えるだけ・歩く時間や距離を延ばすだけのトレーニングをしているけどあまり価値を感じない、

という方がお近くにいらっしゃいましたら、

お気軽にご相談下さいね。

 

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結果を出すには情報が不可欠だ!

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今日は久しぶりに学友の一家と再会し、子ども同士で仲良く遊んでくれたところを見ながらとても幸せを感じられる一日でした。

 

 

さて、

今日の記事は自分の甘さを戒めるため、反省の意味を込めて綴っていきます。

 

その学友、最近小指の痺れに悩まされている

ということで、

遊びに来たついでに診せてもらうという流れに。

 

 

夏に向けて主に腹筋を筋トレしていたようですが、

痛み始めて1ヶ月程度なので、

筋疲労や微細損傷に伴う筋膜性の神経絞扼(知覚神経に圧迫がかかった状態)

を優先的に疑います。

 

「指の動きがぎこちない」という運動面の症状に対して手首の安定に関わる筋肉、

頸を動かしたときの違和感については胸部の筋肉

の硬さを取り除くことで、動き自体は効率化します。

 

ただ、痺れそのものは多少マシになる程度で大きな変化には至りません。

 

そこで、

体幹に目を向け横隔膜骨盤の硬さにフォーカスしていくと、

それらを操作すれば柔らかさは確保されるものの「痺れ」には直接的には関係ないようです。

 

 

ここでふと疑問が生じました。

 

それは

どんな感じで筋トレをしてたのか

ということ。

 

聞けば腹筋ローラー的なやつ↓

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を使って上肢を酷使していたとのこと。

 

つまり、↑この姿勢を保つために最大努力を要する部位があった訳です。

 

それが上腕三頭筋です。

 

この筋肉は普段あまり意識しませんが、

いわゆる二の腕のたるみや脂肪のつきやすい場所としてよく知られています。

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この上腕三頭筋の筋腹を局所的に変形させるような接触をしたところ

「それめっちゃ効く」

「ビリビリくる」

と、これまで接触した中で最大の反応が返ってきます。

 

 

実は上腕三頭筋と小指は

深層アームラインという筋膜性の連結を持っているのですが、

その更に上の肩腱板筋の反応が薄かったために見落としていたのです。

(この辺は分かりにくいので飛ばしていただいて結構です。また後日説明します。)

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この上腕三頭筋の筋疲労による伸張性の破綻が小指の痺れの原因であると鑑別でき、

この組織に対して緩みを確保する操作へと進みます。

 

もちろん一度の操作で完全に取り切れることは少ないですが、

確かな変化をもたらすことができ、セルフメンテナンスに繋げられました。

 

 

私にとって大切な友人の悩みを解決するきっかけを作れたことは喜ばしいですが、

そもそもちゃんと問診をしていれば、

問題点に最短で到達していたわけです。

 

 

痛みの原因は顧客のライフスタイルや運動パターンに隠れています。

それを改めて感じさせられ、

自分の仕事の精度をさらに高めるきっかけを与えてくれた友人に感謝します。

 

また明日から全力で目の前の問題に向き合っていきます。

 

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