週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

結局、ギックリ腰にならない身体づくりは可能なのか?

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

尾道で唯一の疼痛治療専門家のブログへようこそ!

 

 

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少し更新の間隔が開いてしまいました。

 

 

シリーズでお送りしています、

ギックリ腰のリハビリテーションについての考察ですがいかがでしょうか。

 

 

言い換えると「筋膜性のねんざ」に伴う急性症状が出ている段階では、

不安定な体幹を保護するために意図的に身体を固めた状態にあり、

殆どの方がまともに体幹を使える状態にありません。

 

したがって、

動作を分解する=部分的な関節運動 を指標に、

外から安定を付け足すことで痛みや可動性に変化が生じるかどうかを鑑別する必要性

について語っていきました。

 

 

そうは言ってもやはり安静が優先であることに変わりはありません。

 

中には横になっているよりも座っている方が楽だ

という方もいらっしゃいます。

 

 

治療をするにしても安静に過ごすにしても、

コロコロと姿勢を変えることは全身運動を強要することになるため

オススメしません。

 

極端な話、

立ったままの方が楽なら立ったまま治療する方が効率的なこともあります。

 

 

 

実はつい先日、

このテーマにピッタリ当てはまるお客さまが来店されました。

 

 

元々腰痛を抱えながらゴルフをされている方はたくさんいらっしゃいますが、

付き合いで18ホール回ったそのお客さまはプレー中からすでに症状が出始め、

翌日には案の定、

日常生活に支障を来たすレベルの急性腰痛を発症されたようです。

 

 

仕事も気合いでどうにか乗り切ったものの、

まともに立てない、歩けない

というほぼアウトなやつです。

 

 

「寝るとめっちゃ痛い」

「立つ時も座るときもピキッとくる」

「座ってる方がまだマシ」

 

 

ということで、

治療に当たって姿勢の難易度は

座位⇒立位⇒臥位

の順に難しくなるという構図が成立しますし、

 

姿勢変換がスムーズに行えるだけの身体の余裕をつくる

ことを目標にアプローチする必要があります。

 

 

 

例えば城を攻め落とすとき、

いきなり天守閣を狙えば当然返り討ちに遭います。

 

無力化出来そうなところから徐々に本丸に近づいていき、

最終的に目標に到達する

という戦略やプロセスは疼痛治療においても非常に重要になってきます。

 

 

そういう意味では、

損傷の引き金になったであろう機械的なストレスを蓄積した荷重関節・クラブを振り回すことで生じた肩甲骨の疲労の程度

など、

「腰」以外の要素にも着目することが如何に臨床上価値のあることかがお分かりいただけると思います。

 

 

このお客さまも、

身体の原理原則に従って病理を探っていくと問題が多岐に渡って観察されます。

 

 

 

 

そして、

このケースの最も厄介なのは姿勢を切り替える瞬間の激痛です。

 

 

 

以前、コア・スタビリティについての記事を紹介しました。

toratezza0316.hatenablog.com

 

身体の土台である下腹部はインナーマッスルが適切に機能することで上半身を支えながら移動動作を安定させるスタビライザーとして機能しています。

 

全身が疲労した状態では「支える」という重要な機能が低下しており、

アウターマッスル優位に活動しがちになります。

 

 

早い話が

下腹部の筋肉=「自然のコルセット」がバカになっている

ということです。

 

 

それらに対して、

外から徒手的に圧をかけてコルセットの機能を高めると、

 

「立ちやすくなった」

「ベッドに脚が上がりやすくなった」

 

という変化が適切な手順を踏まえることで生じてきます。

 

 

後は

その部位の緊張を取り除く

働くべきポイントは働かせる

 

という作業です。

 

最終的に、

症状が0になることはないものの背筋を伸ばして歩ける程度には改善し、立ち座りの時の症状もほぼ消失しました。

 

 

 

 

 

そろそろまとめに入ります。

 

 

ギックリ腰は全身の筋疲労によって筋膜性のねんざを引き起こした状態であると

言い換えることが出来ます。

 

病態としては、

損傷した部位を守るために全身の筋肉の緊張が上がっているわけですが、

急性症状が出るまでの身体活動のエピソードが非常に重要です。

 

リハビリテーションを提供する際は、

損傷に至った経緯を考慮しつつ動作を分解して、最終的に身体の土台が機能する状態に整えていく作業を取捨選択します。

 

ここで言う「整える作業」とは、

やみくもにマッサージをするという意味ではなく歪みを起こしている筋組織を緩めて「伸びた」「柔らかくなった」と感じられる状態にもっていくことです。

 

 

深呼吸をしていただくと表面の筋肉は比較的緩みやすくなり、広背筋や胸腰筋膜が弛緩します。

息を吐いた時にこれらの筋肉を引き締めるように圧をかける動作を繰り返してみるのもいいでしょう。

患者さん自身が、自分の手を腰に当てて、呼吸に合わせて親指の先を広背筋と胸腰筋膜の境目辺りにゆっくりと沈ませるようにすれば(図中 矢印の辺り)セルフメンテナンスができます。

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いずれにしてもギックリ腰の急性症状に対しては、

非常に緻密な仮説-検証作業が不可欠になります。

 

実際に対象者を診たセラピストとして、

「こうしたら良くなります」

という安易なアドバイスは出来そうにありませんが、

適切なフィジカルアセスメントを繰り返すことである程度の範囲で改善へとガイドすることができます。

 

そして、

元々身体が柔軟な方ほど局所的なストレスを蓄積することなく「逃がす」ことが上手な傾向にある

ということも付け加えておきます。

 

 

と何となくまとめたところで、

ギックリ腰編をとりあえず終わろうと思います。

また新しい発見があればご報告します。

 

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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