東洋医学についてpart.1
今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。
多くの方よろしく、長い休暇から解放され日常業務に戻っております。
まぁ、正月はそれなりに面白いイベントもありましたが・・・
薄々気付いてはいたのですが、ブログの紹介コメントにも載せている「東洋医学」とは何なのか、一度も説明しないままこれまでヌルッとやってきてしまいました。
なので、
今回から暫くの間、シリーズで今現在私の研究テーマである東洋医学についてお話させていただければな・・・思いながらも、
何から語っていけばよいやら悩みながらPCと向かい合っています。
西洋医学と東洋医学の違い
まず、西洋医学からお話します。
西洋医学は、その名の通り西洋で発展し現代医療の根幹を成すまでに成長した学問です。
解剖学や生理学を基に血液検査や尿検査、レントゲンやDNAなどあらゆる細胞・遺伝子レベルでの科学的検査に基づいて「病名」を決め、それに応じて投薬や手術を提供します。
つまり、病原菌を特定し、それを排除するという考え方で治療が進められるため、排除(切除)した結果身体のバランスが崩れて日常生活に支障を来たす可能性が大前提にあります。
また、病名を決めることからスタートするということは、病名がつけられない病気には対処することが苦手です。
しかし、西洋医学が発展したことで誰もが知っているように人類はこれだけ長生きができるようになりました。
我々セラピストはもちろん医師も看護師も、国家試験では西洋医学に関する知識がなければ話になりませんし、「エビデンス(根拠)に基づいた治療」を提供できる医療者は、多くの場合優秀な医療者として認知されます。
では東洋医学とは?
東洋医学は、その名の通り東洋で発展した伝統的な学問です。
諸説ありますが、
2000年前の古代中国で生まれ、7世紀頃日本に伝わり、日本人の体質や分化に合わせて独自に発展してきました。
古医籍に基づく薬物療法を「漢方医学」、鍼・灸でいわゆる「ツボ」を刺激する物理療法を「鍼灸医学」と呼び、これらをひっくるめたものが現在の「東洋医学」です。
東洋医学では、患者さんの自覚症状や症候、病態に着眼し治療を行います。
具体的には「冷える」「倦怠感」「重い」といった、自律神経や免疫機構、内分泌系が関与している症状に対して、
漢方や鍼灸といった手段で「体質」を変えていくような考え方です。
したがって、手術が必要なガンや組織損傷、肺炎などの細菌感染症などには直接的な効果は薄いと言えます。
具体的な例↓
つまり、
どちらがいい・悪いと言うわけではなく、
どちらにも得意な分野と苦手な分野があり、
どちらかに偏った思考ではなく、
お互いに補い合うことが質の高い医療につながるのではないか、
と私自身も数年前から考えるようになりました。
実際、古くから日本で医業といえば前述のように東洋医学であったわけですが、
西洋医学は150年そこそこです。
医療の発展は目覚ましいですが、現実として対応しきれていない患者は病院に溢れています。
そこで、近年になって再び東洋医学(特に「漢方」)への関心が高まってきましたよね。
東洋医学的なリハビリテーションとは
先ほど、東洋医学を紹介する際「体質」というワードを使いました。
体質とは,人体の各部位の形質の総和である。また,身体の形態や機能について生まれながらに備わっている全体論的な性状である。つまり,人体の一つ一つの部位(器官,臓器,組織など)を個別に調べても判明しない総合的な性状である。 近代医学は,人体の個々の部位を精査して病型を分類するが,16世紀のパラケルスス以前は,むしろ,人体を一つのまとまりとみなして,病気の原因を探っていた。すなわち,病気の原因を体質によって説明しようとしていた。
出典 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について
ここでいう体質とは、
体液の質を指します。
体液(特に細胞外液)とは主に、
血液 リンパ液 脳脊髄液
の3要素です。
血液は全身を栄養し、新陳代謝を促します。
リンパ液は老廃物を心臓に戻したり免疫機能に関与します。
脳脊髄液は脳や脊髄という中枢神経を守りながら栄養し、ホルモン運搬の役割も担います。
この考え方に従うと、人の健康=恒常性(後日解説)は、
・体液が全身をスムーズに流れていること
・体液に含まれる成分が安定していること
・それによって五臓六腑が機能しているかどうか
に左右されると考えることができます。
例えば、
一般的なリハビリテーションでは、
腰痛患者に対して毎回腰を温めたり、牽引装置を使って引っ張ったり、療法士が一生懸命マッサージをしたり・・・
どこの病院でもよく見る光景ですが・・・
東洋医学的な見方で腰痛を診るとき、
なぜ腰痛になったのか?
腰痛にならない体質にするには何を変える必要があるのか?
を考えます。
病気を診て、人を診る
という視点に立つと、
慢性的に肌の色が黒ずんでいる(=「腎」の衰弱)
とか、
何か腫れぼったい(=水滞:排泄機能の低下)
とか、
いつも気だるそう(=気虚:根源的なエネルギーの欠乏)
など・・・
これは人体の構成要素を『気・血・水』の3つに分類する東洋医学の基本的な考え方なのですが(詳しくは次回)・・・
これらの症状に対して、
どの経絡(ツボとツボを結ぶ線路のようなルート)が停滞しているのか
という見立てをし、治療していくのが東洋医学的なリハビリテーションとなります。
(ここでは「腎」の経絡「腎経」に対する治療↓)
東洋医学における「腎」とは単純に「腎臓」そのものを指しているのではなく、
泌尿器はもちろん人の成長・発育・生殖に影響を与える生命エネルギー「腎気」を総称した概念です。
この「腎気」を供給する経路に過剰や不足があると生命エネルギーに関連したトラブルを招いてしまう。
それを補充したり排出したりするために利用できるルートが「腎経」という経路です。
・・・話題が話題なだけに、かなりマニアックな話になってしまいました。
難しい単語が並ぶと人間は拒否反応を起こしてしまうので、細かい部分は興味のある人だけ読んでくだされば結構です。
方法論はともかく、何となくでも東洋医学×リハビリテーションについてお分かりいただけたでしょうか?
次回からは、もう少し基本的な考え方を順を追ってご紹介出来ればと思います。
今日もここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。