週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

体幹の動きとパフォーマンスの関係

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

寅丸塾の管理人です。

 

暖かくなってきましたね。

いつもお世話になっている公民館の掃除と、保育所の役員の仕事に子守りで気がつけば1日が終わりそうです・・・

 

 

今日は「体幹」について記事にしていきます。

 

 

 

 

 

 

体幹の動きについて

 

我々セラピストは、養成校ではまず解剖学や生理学を頭にたたき込む所からスタートします。(人を診る上で基本的な知識がなければ話にならないので、知識を得る、という最初のステップが困難なようではそもそも適性がありません)

 

今でこそ「体幹」の重要性は一般的にも知れ渡ってきましたが、

養成校のレベルでは(少なくとも私の学生時代は)体幹に関するリハビリについて語られた覚えがありません。

 

まぁそれはともかく、

体幹は人間が運動する軸となる部位ですので、言うまでもなく重要な役割を担っています。

toratezza0316.hatenablog.com

 

体幹には何種類かの運動パターンがあります(下図)。

 

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つまり、

屈曲=曲げる

伸展=伸ばす

側屈=倒す

回旋=捻る

 

という4つの基本的な動きを、脊柱の1つ1つの骨が少しずつ生み出すことで実現しています。

 

実際には、

どれか一つの動きを選んで動くということは殆どなく、

微妙に組み合わせながら身体の向きを微調整することで人間は持続的な姿勢制御と手足を自由に動かす(=随意運動)という機能を発揮しています。

 

スポーツなど瞬発力やバランス能力を要求される場面においては、特に正確なコントロールが必要になります。

 

 

子どもの動きを観察する

 

私の職場である療育センターでは、外来の子ども達を対象に「サッカー療育」という集団訓練を定期的に実施しています。

 

サッカーというスポーツを通して、

集団行動や調和・思いやりといったスキルを向上させようとする伝統的な行事です。

私が見る限り、身体能力の向上という点はおろそかにされていますが…

 

そして、

子どもがボールを追いかけて走る姿を見ると、

・顎が浮いている(常に顔面が天井に向いている)

・身体が傾いている

・ボールを追い越してしまう

といった、まぁまぁ目を疑うような動きを観察します。

 

ただ、自分の担当する子どもではなく、指導は外部講師に委託しているため、補助要員として「見ている」だけなのですが。

 

いわゆる「不器用な子ども」「グニャグニャさん」は運動がとにかく下手なのですが、それらを克服していくプロセスというのは、

これからのQOL(生活の質)を考慮すると高齢者の筋トレよりも遥かに重要な意味を持ちます。

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臨床推論

 

走る時に顎を浮かせて天井に顔を向けながら走っている子

について考察してみましょう。

「走る」という動作では、歩く時よりも何倍も強い衝撃が身体に入ってきます。

顎を浮かせる=「体幹を伸展する」ことで背骨を固定し、固めることで衝撃に耐えているのかも知れません。

 

 

身体が傾いている子はどうか?

身体が傾いている状態とは、パッと見て肩の高さが崩れていることを意味します。

サッカーのようなフットワークを要する競技において、

・進行方向を瞬時に切り替える

・人とぶつかったり避けながら走る

という運動パターンが常に求められます。

つまり、身体を横方向にズラしながら動くスキルが必須です。

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しかし、身体がしなやかでなく、横へズラすことが出来なければ最終手段として目線を傾けて身体全体をズラそうとしている可能性があります。

 

 

ボールを追い越してしまう子

については?

サッカーはボールを見ながら動く競技であるにもかかわらず、ボールが見えていない

というのはもはや競技への適性に疑問を抱かざるを得ません。

自分の運動や姿勢が崩れないように保つという内的な注意が、ターゲットに注目するという外的な注意よりも優先されている段階のため、

数をこなせばどうにかなるというものではないような気がします。

 

 

集団訓練と個別訓練

 

これらの問題を抱えている子どもに対しては、

ボールを操る練習

よりも

身体操作を学習すること

の優先度が遥かに高いと私は感じています。

 

身体操作が一定の水準に達しなければ、

・上手く動けたという達成感

・周りに合わせて動く余裕

・仲間を応援したいという気持ち

自体が生じにくいからです。

 

下手でもいいからとにかく楽しみたい

という感覚ならこれまで通りでも良いのですが、

彼らはシューズやウェアなどしっかり準備しており、

「上手くなりたい」という意思をヒシヒシと感じます。

 

サッカー療育という集団での活動機会を否定する気はありませんが、

それに参加する子どもを個別訓練において一定水準に鍛える

というセラピスト側の責務を忘れてはいけません。

 

 

コロナ禍で子どもの担当業務を外れている現在、彼らがどの程度進歩しているのか気にはなりますが、

訓練のポイントは脊椎を中心とした胸郭や肩・股関節の動かしかた

が重要になると感じています。

私なりの問題解決方法について、次回のセミナーでご紹介しようと思います。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。