週末に本気を出す療法士の日常

東洋医学を研究する療法士が自由診療の世界で戦いながら、普段は会社員として子どもに振り回されつつ学んだことを綴っています。

運動の土台を作るのがセラピストの仕事

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

 

ここ1ヶ月ほど東洋医学の話ばかりしていましたが・・・

 

toratezza0316.hatenablog.com

  

実はかなりの労力を費やしている状況が負担に感じてきたこともあり、

そろそろ脱線してもいんじゃね?  

 

ということで、

今日は子どものお話です。

 

 

会社員のジレンマ

 

何度か触れましたが、

私の勤務先は療育センターなのでほぼ毎日のように子どもとふれあうのですが、いかんせん新参者なので、

自分の経験値は揺るぎないものがあっても郷に入っては郷に従うことは必要だと、

当初は思っていました。

 

しかし、

評価期間

検査測定

標準化

IQ

 

・・・など、いかにもお役所が好きそうなマニュアル仕事に納得しきれず、

表面的には理解を示しつつひっそりと独自路線を突き進むことにしております。

 

もっとも、

・ウチの子が他の子と比べてどのくらいなのか

・進学にあたって私立をお受験するべきか

と、

色々検査して欲しいという両親も中にはいます。

それで満足されるのであればやりましょう、です。

問題の本質はそこなのかどうかはおいといて。

 

 

不器用さについて考える

 

1年近く、今の職場でそれなりの数をこなしてみて感じたこと。

 

落ち着きのなさやこだわり、癇癪持ちなど・・・

様々な子どもの相手をしてきましたが、それらの症例の中に多く見受けるのが

「ウチの子不器用なんです」という訴えです。

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この「不器用さ」とは何を指すのか?

 

・箸や鉛筆の持ち方

・指の力のなさ

・姿勢が悪い

・身体がぐにゃぐにゃしている

・身体が硬い

・よくこける

・走るのが遅い

・ボールの投げ方が悪い

・全身に力を入れて歩く

・とにかく運動が下手

・特定の競技しかやろうとしない

などなど・・・

 

 

最近はどこの市町村でも子どもの発達を支援する場所はできつつあるようです。

ただし、

放課後デイサービスとか体操教室とか、

あくまでも集団で足並みを揃えることを前提としたものであることが多いようで、

専門家がマンツーで診てくれるという機関は少ない。

 

 

話をもどします。

先ほどの不器用さの原因について、

 

①単純に経験の不足による未熟さ

であれば、上記のように地域の集団で色んな活動を一緒にしてあげれば自然と上達していきます。

 

しかし、

②抗重力活動の機能不全

だと、話が違ってきます。

人間は二足歩行で生活するために、本来前足で上半身を支えるべきところを全て骨盤・下肢に託しました。

つまり、我々は普通に生活しているだけで常に上半身が骨盤にめり込んでいるわけです。

 

それを防ぐために脊柱とその周囲の筋肉が発達し、

 身体が崩れることを防ぎ

 内臓への圧迫を回避し

 腹圧をかけることで呼吸が効率化し

 ダイナミックな移動能力を獲得し

 上肢(=腕)を自由に使えるようになった

わけです。

 

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これらの原則に則ると、

「うちの子筆圧がものすごく弱いんです」という訴えに対して、

字をたくさん書く練習をさせる前に、抗重力活動がどの水準なのかをまず疑ってかかる必要があります。

 

呼吸・循環・気道

をベースに、

重力に反する活動全般

例えば「起き上がる」「立つ」「飛ぶ」「走る」「投げる」

などの技能を把握することでしょうか。

 

「馬鹿にしないでください、ウチの子は起き上がることくらいできます!」

なんて声が聞こえてきそうですが、

筆圧の弱い子は大抵これ ↓ ができません。

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ボールを投げる時も、

そもそも床から足→骨盤→肩→ボールとエネルギーを伝達して推進力に変えるなんていう技能がありません。

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これらの問題は一つ一つ分けて考えるのではなく、

抗重力筋の不活動によって

・重力に対して持続的に抗えない

・腹圧がかからず呼吸器・内臓の動きに影響を与えている

・協調的な荷重移動の稚拙さや床反力を上手く使えない

・指先の高度なパフォーマンスを発揮するだけの安定がない

といった問題に帰属させることができます。

 

 

子どもの幸せをつくる

 

つい先日も、「縄跳び」の苦手な子どもの相手をしました。

試しにジャンプさせると、

床を蹴る力が弱く、それを補うために空中で脚を折りたたみ、着地すると膝のクッションを効かせることが出来ず痛がる

という、突っ込みどころ満載な小僧です。

 

 

「縄跳び」という、

向かってくる縄にタイミングを合わせてジャンプし、

着地と同時に再び跳ぶ体勢をつくり、

小さく跳ねながら大きく跳ねるタイミングを見計らう

自分で縄を回すと更に難易度が上がる

 

この一連の動作がこなせるかどうかは、

小学校低学年において自分自身の学校でのヒエラルキーを決定づける要素の一つといって良いほど死活問題です。(主観的)

 

縄を跳ぶ前に、まず踏切り~着地の非効率さを何とかしないといけません。

 

成人の訓練の際と同様に触診や動診をしていくと、

小1のクセに異常に痛がる部位がある

ことが分かります。

それが ↓

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筋筋膜性の問題は大人だろうが子どもだろうが関係なく生じます。

むしろ、子どもは加減を知らない分過剰なストレスが局所に蓄積し、解決しないまま成長していく上に、

「鍛えようが足りない、もっと頑張れ」

的な指導をされることが多く、問題の本質を理解されないことこそが問題です。

・・・

 

原因さえ分かればこっちのもんです。

 

ラテラルラインが短縮しているということは、

身体の外側ばかりに荷重がかかっているサインでもあります。

常にエッジを効かせた状態とでも言いましょうか。

 

膝関節症が重症化して丸太のような脚でガニ股歩きをしているおばちゃんのアレです。

見かける度に、

なぜ薬や注射ばかりに依存して「身体を変える努力」をしないのか不思議でしょうがないですが・・・

 

それはともかく、

ラテラルラインの中でも特に大腿筋膜張筋の緊張・短縮を改善させるよう誘導していきます。

 

その後、小僧にもう一度跳んでもらうと、

最初は1回跳んだら痛がっていたのが4,5回と連続で跳べるではありませんか。

跳んだ後も痛くないようです。

 

 

というわけで、

運動技能は筋骨格の適度な連結によって成り立つもので柔軟性の欠けた状態ではパフォーマンスが発揮されないことが分かります。

 

本質的な部分が変われば、徐々に学習効果も出てくるでしょう。

結果的に、自己肯定感の向上と精神的安定、社会性へと発展していく土台ができることにもなります。

 

子どものリハビリテーションを考えるセラピストには、せめてこの程度の考え方が広まれば良いのですが。

 

と思いながら、今日も上司のためではなく利用者とその家族の幸せのために仕事をしていきます。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。