東洋医学についてpart.4
今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。
東洋医学シリーズ、中々伝えたいことを伝えるのは難しいですね。
今回は「五行論」という、非常に抽象的な話に切り込んでいきます(心配)。
五臓六腑とは
「五臓六腑に染み渡るわ〜」
昭和生まれの人の飲み会くらいでしか使われることのない単語ですが、
東洋医学では森羅万象の物事を
「木」「火」「土」「金」「水」
の五つに分類して考えます。
「五臓」が何を示しているかというと、
肝・心・脾・肺・腎
の5つです。
ただし、
西洋医学的な「肝臓」と、ここで言う「肝」の示すところは少し違います。
例えば、
西洋医学的な「肝臓」は、
摂取した食物から糖質や脂質、タンパク質を生成したり血糖の調節、胆汁の生産、解毒・・・
など、あくまでも内臓として重要な機能を担うとされています。
一方、
東洋医学的な「肝」は、
・循環・代謝・発散・排泄・解毒などをコントロールする
・感情をコントロールする
・血液を貯蔵する
・肝臓/胆嚢/爪/目/涙/筋腱も分類
と、カラダを支える5本柱の1つと考えます。
ちなみに、その他の五臓については以下の通りです。
「心」とは、
・血液循環と拍動をコントロールする
・脳(大脳皮質・高次中枢)や精神活動をコントロールする
・心臓/小腸/顔面/舌/汗/脈なども分類
「脾」とは、
・消化吸収をコントロールする
・血液が漏れ出ないように統率する(統血)
・脾臓/胃/筋肉/四肢/口/唇/涎なども分類
「肺」とは、
・呼吸をコントロールする
・水分循環をコントロールする
・防衛機能をコントロールする
・肺臓/大腸/皮膚/体毛/鼻/のど/気管支/音声なども分類
「腎」とは、
・生命力を貯蔵する
・生殖や成長発育、老化をコントロールする
・水分代謝を調節する
・腎臓/膀胱/脳/骨/骨髄/耳/泌尿生殖器/肛門/毛髪/唾なども分類
・・・と、より大きな括りで身体を構成していると考えられています。
そして、
健康を保つ上でこの5本の柱のうち“どの柱が傾きやすいか”は人によって違います。
また、
一本の柱が倒れれば、他の柱への負担が増し、やがて周りも疲労し倒れる
といったことにもなりかねません。
なので、
自分の身体の傾向を「五行」という柱で観察してみると、ある程度対策がとれるのかもしれません。
ここに挙げたのは一例ですが、自分の抱える不調の傾向が分かれば、東洋医学への関心も湧いてくるかもしれませんね。
五行論に沿ったリハビリテーション
さて、肝心なのは
身体の傾向が分かったら、今度はそれに対してどのような対策を取っていくか?
ということです。
五行にはそれぞれ、
・生み出す関係(相生=そうせい)
・抑える関係(相剋=そうこく)
があります。
そして、最初の図に示した
「木・火・土・金・水」の関係は、それぞれ
「肝・心・脾・肺・腎」に相当します。
つまり、
木は火を生み(肝は心を助ける)、
火は土を生む(心は脾を助ける)。
土は水を汚し(脾は腎を制御する)、
水は火を消す(腎は心を制御する)。
ものすごく単純な理屈ですが、
どこかの働きが弱いとき、それを助ける働きを持つ臓腑を活性化する
どこかの働きが強すぎるとき、それを制御する臓腑の働きを診る
という考え方ができます。
車で言うとアクセルとブレーキの関係ですね。
例えば、
めまいや立ちくらみ、情緒不安定で慢性的な肩こりを抱えるようなクライアントに対して「肝」という柱の脆弱性を疑うならば、
「肝」そのものの補強や補充は重要ですが、
肝の働きを助ける「腎」の機能にも注目する。
肝の働きが過剰で、負担を減らしたい時には「肺」の機能にも注目する。
腎や肺の働きにも問題があれば「心」「脾」
というように、
アプローチするポイントを広げていくことで全体のバランスを高めていく
そのような臨床推論が可能になります。
具体的に言うと、
腎を養生するために筋骨格、特に下半身の安定化
肺を養生するために呼吸・換気に関わる筋や関節運動の効率化
といった戦略を考えることができます。
また、食事は酸味のあるものや、血を補ってくれる鉄分の多い食材をとっていくこともアドバイスとしては有効かもしれません。
「酸」には解毒作用があり、血液を浄化し血管や皮膚、筋肉を引き締める効果がある。寝汗、下痢、頻尿などにも有効。
酸の主な食材・・・
豚肉、亀、レモン、トマト、ザクロ、イチゴ、ミカン、リンゴ、梅、米酢、黒酢
五味にも相剋の関係があり、「酸」には「甘」がそれに当たる。
「酸」がそのままでは強すぎるときは「甘」で補い合って調和できる。
五行は孤立・静止して存在するものではなく、絶え間なく循環する関係性の中で過剰や不足がコントロールされ、全体として均衡のとれた状態が保たれる
と考えます。
自然界の生態系のバランスや季節の循環、人体の生理的なバランスなど、調和・統制のとれた事柄は、絶えず産出して(相生)、破壊する(相剋)五行の運動変化によって説明できるといいます。
「肝」に問題があるといっても、
物事には常に二面性があることを忘れずに、様々な可能性を考えて治療に臨んでいきたいと私は考えています。
五行論、学んでいけばいくほどもっと複雑な話になっていくのですが、
これ以上の情報はまたの機会にお話するとして・・・
今日もアクセスいただき、本当にありがとうございました。