東洋医学についてpart.3の2
今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。
今日の お話は、前回 ↓ のB面(表現が古い)のような内容になります。
※やや専門的な内容を含みますが、このブログ自体が自己満足の世界ですのでご容赦ください。
前回のまとめ
カラダの内部の温度を指す「深部体温」は身体的なパフォーマンスの質に大きく影響するため、熱を生み出す骨格筋を鍛えることは重要である。
深部体温は日内変動しており、夕方が最も高く夜間が最も低い。
生産性の低さや寝不足・冷えを感じている人は、深部体温の日内変動が不十分で脳や内臓が十分に休めていない可能性がある。
深部体温の変動を調節する方法として入浴のタイミング(就寝の90分前)や、朝食・日光に当たることなどを紹介しました。
これらは覚醒と休息のメリハリをつけ、自律神経の働きを切り替えることにつながるため、体質改善を図る上で重要な戦略ですね。
東洋医学と冷え症
基本的に、西洋医学では「冷え」という概念は存在せず「冷え症」などという診断名もありません。
ただ、症状の内容や強さ、血液検査などの結果から、
・自律神経失調症
・低血圧
・貧血
が当てはまりそうなときは、それに対処していきます。
しかし東洋医学においては、
気・血・水
という概念に基づき病気を診て人を診ます。
冷えという症状を大きく2つに分けてみますと、
①カラダの熱を作り出せない熱源不足
②巡りが滞り、熱が行き届かない循環不足
に分かれます。
①熱源不足というのは、体力がなく身体が弱いため絶対的な熱量不足になることです。
原因を一言でいうと、
火力自体が弱い=気虚(ききょ/エネルギー不足)
or
燃料が足りない=血虚(けっきょ/栄養不足で薪が足りない)
です。
②循環不足については、
身体の熱量自体は足りているのに、熱の巡りが悪く隅々まで熱が行き届きません。
自律神経の乱れ=気滞(きたい/主に精神的ストレスから)
or
局所的な循環障害=瘀血(おけつ/手足や下半身に熱が行き届かない)
or
余分な水が溜まっている=水滞(すいたい/いわゆる浮腫み)
に分けられます(ざっくり)。
・気が滞る「気滞」
・血が滞る「瘀血」
・水が滞る「水滞」
どれか1つでも崩れると、結果として同じような問題にたどり着いている点に注目してください。
「気」の流れがスムーズでないと血や水の流れも邪魔します。
慢性的にストレスを抱えている人は交感神経が優位になり、
情緒不安定になったり攻撃的な態度になったり、
そもそもリラックスしてないので内臓が働きません。
「ストレス食い」は、手っ取り早く満腹感を得て副交感神経を働かせたい=リラックスしたい
という代償的手段と言えます。
また、
熱は上の方に溜まりやすく下に流れにくいという性質があります。
足を冷やすと、
冷たくなった静脈血が骨盤内の子宮や胃腸を冷やしながら心臓へと戻っていきます。
これが生理痛や生理不順、下痢や便秘の原因になっている場合が非常に多いといいます。
私のクライアントに、
身体の中心はそれほど冷えていないのに手足の冷たさが特徴的な方がいらっしゃいました。
もっとも、主訴は「冷え」そのものではなく
「頭が重い」
「肩がぼんやりしてよくわからない」
など非常に抽象的な訴えで、すでに<病院にはかかるだけ時間の無駄>という認識でいらっしゃいました。
リハビリテーションの組み立て
さて、
こういった不定愁訴に近い訴えを考えるとき、そこそこ勉強しているセラピストなら最優先で姿勢の問題を疑います。
人間は重力に逆らって生きていますから、
起きている間、常に背骨(脊柱)がストレスと戦っている状態です。
したがって、
人間の骨で真っ先に老化していくのは背骨なのですが、筋力的に不足しがちな女性は特に頭を支える背骨とその周囲のキャパが乏しく、
それでも頭を支えるために「固める」という手段を選びがちです。
結果、
頚や肩が慢性的に緊張した状態ができあがり血行障害を引き起こします。
そして、
血の巡りが悪く栄養が滞ることで新陳代謝は停滞し、
全身がよどんだ状態となりみ正常な状態に比べて血液の粘度が強く流れが悪くなります(=瘀血)。
内臓の機能については後日改めて紹介しますが、
肝臓は全身に養分を行き渡らせる木のような存在(五行論/次回)。
全身を巡って栄養と酸素を送り届けた血液は、二酸化炭素と老廃物を回収して再び肝臓に帰ってきます。
肝に不調が起こると、自律神経、感情、筋肉、目などにトラブルが起きます。
寝不足が続くと頭痛がしたり、体がだるくなったり、抵抗力が落ちるのは、寝ている間に血液をきれいにしてくれる肝臓の働きが鈍くなるからです。
現代人は肝臓が疲れています。
睡眠の問題以外にも、アルコールや医薬品、化学物質や飲食不摂生、ストレスなどで肝臓の働きが低下していると、血液がきれいに掃除されないまま全身を巡ることになります。
漢方では、瘀血の改善には血流を改善する漢方薬=活血薬が用いられます。
しかし、瘀血改善には質の良い睡眠を確保すること、肝臓の働きを高めることも同時に整えていく必要があります。
話を戻します。
このクライアントの、頭の重さや肩の感覚の鈍さといった症状を「肝」の慢性疲労とリンクさせて評価すると、
肝臓に相当する部位がメチャメチャ重い
という現象が確認されます。
内臓も平滑筋という筋肉ですから、オーバーワークや損傷すればパフォーマンスが落ちるし、
「足がつった時」と同じように硬くなったり上手く働いてくれない状態になることは、容易に想像できます。
このような問題対して、
肝経
というラインに沿って徒手的にマッサージやストレッチのような操作を加えていきます。
これだけでは何のこっちゃわからないですね。
いわゆる「ツボ」は、対応する臓器の働きに影響するスイッチのようなもの。
特にエネルギーが多く流れ影響の強いツボを
原穴
といいます。
肝経における原穴は「太衝」という経穴です。
ここは足背動脈という動脈の走行で、脈が触れる部分ですので
全身に栄養が行き渡らない状態
=太衝で脈が触れない
ことが臨床上かなり多いです。
しかし、
これらの概念を知った上で手を触れていると、
徐々に血管が拡張し脈が触れるようにになることも多くあります。
これは
「手当て」=手を当てる
という昔ながらの単純な方法ですが、
触れているだけで自律神経の働きが安定して血の巡りがよくなる
という基本的な考え方に基づくものです。
このクライアントに対してはもう少し複雑なやり方が必要ではありましたが、
同じような原理で肩のぼんやり感や頭の重さは徐々にとれていきました。
ちょっと専門的な内容が多くなりましたが、
今回は(結果的に)東洋医学における経絡治療についてを紹介させていただきました。
あなたも、肝臓に不安を感じたときは試しに「太衝」を触ってみて脈がとれるか確認してみてください。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。