問題が慢性化すると感覚が鈍る?
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尾道で唯一の疼痛治療専門家のブログへようこそ!
先週の尾道(御調)は毎日のように雪が降っていました。
どうしても客足に影響してきますが、家族との時間も少し増えて休養になりました。
さて、
何度も言及していることかも知れませんが病院勤務時代と今とではずいぶん働き方が変わっています。
例えば「〇〇骨折」など問題が明らかな場合、機能障害が生活に支障を来たしているため「生活にそこそこ支障がなるなるまで」患者さんは半自動的に目の前に現れます。
たとえ担当のセラピストがどんなに不勉強でも。
しかし、
慢性化した肩こりや腰痛を抱えた方にとっては「すぐに何とかしてくれる」が重要で、
初めて会う方の自覚症状に対して即座に問題の解明と目標・戦略の方向性を決めた上で「治りそう」という変化を感じていただく必要があります。
したがって、
学生時代に学んだ、対象者の苦手なこと・できないことを炙り出す減点方式の評価に
顧客は全く価値を感じません。
具体的には、
「肩が重い」という訴えに対して、
肩の動く範囲を測定する
肩の筋力を調べる
肩の感覚が鈍っていないか検査する
etc・・・
これらの検査測定は教科書に則れば全て正解ですが、顧客にとっては面倒で極力避けたい作業です。
全く必要ないとは言いませんが、マイナスな面を浮き彫りにするよりも「ここの働きをよくすれば軽くなる」といったポイントを明確化することの方が対象者の意欲や信頼感も高まる訳です。
さて、
そろそろ話をタイトルに沿わせていきます。
年単位で重さや痛みなどの違和感が慢性化している方の傾向として、
正常な感覚がどのようなものかが非常に分かりにくくなっている
印象があります。
例えば、
肩がいつも重たい方の肩甲骨は相対的に脱落傾向にあり、首と肩甲骨を繋ぐ筋肉が常に引き伸ばされています。
すると、
筋肉自体が常に緊張してしまい、その部位への血流がストップしがちになります。
これを一般的に「肩こり」と呼んでいる訳ですが、
その部位を触れたときに「痛い」と感じる方は多いですが、
「何も感じない」
方も意外と多いのです。
これは、
筋繊維とその栄養血管が阻血状態となり、筋肉自体の感覚を伝える末梢神経も圧迫されバカになっていると解釈できます。
したがって、
末梢へ向かう血流や神経の通り道を広げることで循環を回復させる必要性があります。
そこで、
「胸郭出口」と呼ばれる、胸と肩/頚の境界線に目を向けてみます。
一般的に撫で肩の人がよく罹患する「胸郭出口症候群」というトラブルは、
腕が痺れる、冷たい、頚が痛い・・・
などの症状ですね。
その殆どがこの境界線における筋膜・神経・血管の摩擦や圧迫によって生じます。
つまり、
この境界線上にある筋肉を含めた結合組織の機能障害を診る目が必要です。
経験上、小胸筋や斜角筋、肩甲下筋の柔軟性を引き出すことで
「血が通ってきた感じがする」
「暖かくなってきた」
「頚が楽に動かせる」
など、症状が改善してくるケースが多くあります。
なぜなら、これらの筋肉の緊張や短縮が血管や神経を圧迫していることが臨床上非常に多いからです。
「痛み止め」で誤魔化しながら
とりあえず腕を回す、筋トレをする
みたいな安直な発想では問題はむしろ慢性化していくことが多いです。
ということで、
感覚の鈍った状を決して軽く診てはいけません。
医師の診断はもちろん重要ですが、彼らは「運動の専門家」では決してありません。
適切な問題の評価と治療が受けられるよう、お力添え出来れば幸いです。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。