週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

漫然と膝にヒアルロン酸を打ち続ける方が実はかなり多いことに気付いた。

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

尾道で唯一の疼痛治療専門家のブログへようこそ!

 

最近、

仕事に追われてブログを後回しにしている感が半端ないですが・・・

 

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病院で作業療法士として動いているとき、

膝や股関節の問題を抱えている患者さんのリハビリテーション理学療法士がやるものである

というよく分からない基準がありました。

 

 

おそらく、

理学療法士は脚のリハビリ

作業療法士は手のリハビリ

 

という価値判断が療法士側にもあるためです。

 

 

そして、最近よく耳にするのは

「半月に一回は膝にヒアルロン酸注射を打ってもらいに病院に通っている」

というお客さんの声。

 

そもそも、

膝に痛みを抱えている方の多くは長年の肉体労働や、それに伴う加齢性変化によって関節の構造自体が変性していることが殆どですね。

 

 

患者さん本人は、

「出来るだけ手術はしたくない」

という思いをお医者さんに伝えるため、

「では関節内に注射をしましょう」

と言う流れができやすいものです。

 

 

確かに、

ヒアルロン酸は関節の潤滑油やクッションの役割をしており加齢と共に減少して・・・

云々とググればすぐに情報が入ってくる時代です。

以前から使われている治療手段ですからそれで「膝の痛みが治った」人もいるのでしょう。

 

 

しかし、

ウチに相談に来られるお客様は

「注射の後はしばらく痛くて動かれんし、2,3日は痛いまま。それを1年くらい続けてます」

「立つ時は相当気合いを入れんといけんし、買い物に行ったらまず座れるところを探す」

というなかなかの強敵揃いです。

 

 

この慢性化した問題に対して、

もはや注射でどうにかなる可能性は極めて低いことが分かります。

 

 

膝という構造は、

人間が立って活動する限り常に体重と床からの衝撃に挟まれる「中間関節」です。

 

 

自分の体重を支えながら移動する

という基本動作は骨盤・股関節・膝・足首・足趾まで全ての協調的な動員によるものであり、

そのうち最も可動性が求められるのは確かに「膝」であるけれども「膝が痛い」という慢性的な症状を抱える人で膝以外は正常

などという人を見たことがありません。

 

 

特に、

膝から下が硬くなり「脛がパンパンに腫れている」場合が多くあります。

 

そのような方のふくらはぎ(=下腿三頭筋)を触れると柔軟性が失われ足首の可動域も非常に狭い

ことが分かります。

 

 

つまり、

地面からの衝撃を逃がす緩衝装置としての機能が破綻し足元で殺し切れないエネルギーが上へと伝わっていくことで、体重支持以上の負荷が慢性化し膝へのダメージが蓄積する

と仮説を立てることができます。

 

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治療すべきターゲットが「膝」ではなく「ふくらはぎ」だとすると、

筋筋膜性の連結を考慮した運動療法の必要性が出現してきます。

 

 

ここでいう運動療法の目的は「足部の緩衝作用を再構築して膝への荷重ストレスを軽減すること」であり、筋トレをするという意味ではありません。

 

 

これらをご本人に伝えた上でエクササイズを実施してみます・・・

 

 

 

 

最初の評価・治療で「立って靴が履けるようになった」

次の治療で「脚が抱えられるようになった」

さらに続けていくと「自然に立てるようになった」「椅子を探さんでもよくなった」「ロボットのような動きでなくなった」・・・

 

 

という学習効果が定着してきました。

 

なお、ヒアルロン酸は早急にご本人の意思で終了したそうです。

 

 

 まだこれからも改善していく要素は少なからずありますが、

10年後の自分の生活の質に危機感を抱き現状を変えたいと強く思われた方が、こうして適切な運動療法を選択されたことに私としても嬉しく思います。

 

 

 

現代医学は様々な治療法が確立しつつありますが、

我々の仕事においてはフィジカルアセスメントが最も重要です。

(このブログの読者であるあなたはもうご存じかも知れませんが今一度強調しておきます。)

 

 

仕事をする場所が変わっても私には国家資格を持った療法士としてのプライドや「常に考えること」は決して忘れないようにしています。

 

 

もし身近に、

ただのルーチンワークとして病院に通い痛みに悩んでおられる方がおられましたらお気軽にご相談いただければと思います。

 

 

 今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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