ギックリ腰に対するリハビリテーションなんてあるのか?と思っているあなたへ
今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。
尾道で唯一の疼痛治療専門家のブログへようこそ!
前回からお届けしているギックリ腰についての記事です。
おさらいすると、
骨格筋には単関節筋と多関節筋があり、
それぞれの役割は
単関節筋=関節を安定させるが筋肉自体は小さく疲労しやすい
多関節筋=強力な牽引力で関節を動かす
したがって
単関節筋が疲労した状態で荷物を持つ、中腰になるなど多関節筋が関節運動を生じさせると関節自体に著しい負荷がかかり、
特に腰椎や骨盤という身体の土台に当たる関節面にズレを生じさせることで急性腰痛、
つまりギックリ腰を誘発する
というメカニズムをお伝えしました。
肝心なのは
ギックリ腰にならないよう筋活動を最適な状態に保つことですが、
実際には「動けんようになったからなんとかしてほしい」的な声が圧倒的に多いです。
人間は「予防」のための努力はあまりしませんから・・・
というか、
今まで見てきた中で一番多いのが医療者・特にセラピスト側の「腰痛やギックリ腰で数日休む」
という光景です。
指導する側が自分のフィジカルをコントロールできない
というのも実に滑稽ですが、現実問題として横行しています。
ここから本題に入ります。
ギックリ腰は全身疲労をきっかけに生じる筋膜性のねんざのようなものであるため、荷重のかかる筋肉が必然的に問題部位となります。
荷重がかかる部位といえば
背中、お腹、骨盤、お尻・・・
なので、
急性症状のある殆どの方が体幹をまともに使えません。
もっと言うと、
荷重のかかる部位のどこかしらにダメージを負った状態のため、
体幹を固めることで関節を動かないよう保護しています。
したがって、
手を伸ばすという動作一つとっても腕を支える体幹の筋力が必要になるため痛みが強く生じるわけですね。
もしあなたがセラピストなら、
全身運動がまともにできない状態の患者さんに対してあれこれと動作を強要するのでなく、
動作を分解して診る
という視点が不可欠になります。
例えば、
先ほどの腕を挙げただけでも腰が痛いという方に対して、
腕の土台である肩甲骨の滑り具合を確認します。
おそらく肩甲骨と肋骨の隙間に指が入らないくらい固まっている場合が多いです。
そこで、
肩甲骨の内側に対して適度な圧をかけてみます。
その状態で腕を挙げていただき、
「痛みが減った」
「痛みなく挙がる」
という変化が生じるのであれば、
肩甲骨の滑りを増やす作業がギックリ腰の症状を改善する重要な戦略になります。
また、
「腰を反る」という動作が著しく困難になっている方に対して、
肋骨の下で背骨の横にある「腰方形筋」という、体幹を安定させる筋肉を捉えて体幹を動かしていただくと・・・
「大分マシになった」
とか
「ここまでなら動かせる」
といった動きの変化が出てくることが多くあります。
いずれの方法も、
「関節を動かす」という動作に外から「安定性」を付け足すことで生じる変化を診ている訳ですね。
それらのターゲットに対して徐々に緊張を落としていく操作を加えることで、ゆっくりではあるが確実に身体全体の強ばりがとれていきます。
患者さん自身も、ターゲットが分かれば自分で触れる・押さえる・擦るなど、
刺激を入れる習慣をつけることで改善が促されるわけですね。
ただし私を含めセラピストも普通の人間です。
このやり方で誰でも改善すると保証するものでは決してありません、
関節や神経そのものに損傷が疑われ、
操作を加えることで症状が悪化するようならそれ以上触らず病院に行っていただく
という選択も場合によっては必要です。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
次回は予防やセルフメンテナンスについてお話できればと思います。