週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

腰に問題が全くない肩こり患者を今まで診たことがない。

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筋膜治療「肩こり編」を連日お送りしていますが、もう一つ記事を書いておきます。

 

以前こんな記事を書きました。

toratezza0316.hatenablog.com

 

人間の運動は随意運動と姿勢制御に分けられ、

手足を動かす(随意運動)には体幹(姿勢制御)の安定性が保たれていることが大前提である

という内容でお送りしました。

 

これに従うと、

「腕が重たい」という現象に対して「体幹は安定しているのか?」

という疑問が自ずと生じてきます。

 

 

腕を挙げる時、

腕を引っ張り挙げるのは肩の筋肉で間違いないのですが、挙げた腕がグラグラすることなく適度な緊張状態を保って姿勢を維持するために働いている筋肉があります。

それが広背筋です。 

 

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そもそも背中の筋肉は姿勢をコントロールする働きを担っているので、

体幹が柔軟な人(=広背筋を初め抗重力筋が安定している人)ほど歳をとっても背中が曲がることなく若々しい印象を受けます。

 

 

話を戻しますが、

図はバック・ファンクショナル・ラインと呼ばれる筋膜ラインです。

 

よく見ると肩甲骨の下側から反対側の大腿部まで、対角線上に筋連結しています。

 

 

右手でボールを投げるとき、

より遠くへ投げようと思えば左脚の踏ん張りや体幹の回旋運動が不可欠ですね。

f:id:toratezza0316:20170819232322p:plain上肢の動きに対して背中やお尻の状態がパフォーマンスに直結していることが想像できるかと思います。

 

 

臨床上、

「腕が重い・挙げると背中が詰まる」

と仰る方に対して、

反対側の大殿筋をグッと内側かつ上に押し上げた状態で腕を挙げてもらうと、

「腕が軽くなる」と感じる場合がしばしばあります。

 

 

なぜそのような変化が起こるかと言えば、

胸腰筋膜を介して広背筋が緩み体幹の緊張が適度に下がることで肩甲骨が動きやすくなるわけです。

 

 

広背筋も大殿筋も骨格筋の中で非常に大きな面積を占めることから、

このラインが疲労して伸縮性を失うことで肩も腰も影響を受ける

ということが実際に多い訳です。

 

 

事実、

肩のトラブルを抱えた患者さんで「腰は何ともない」という人を診たことがないですし、

「肩のリハビリを処方されたんだからあなたの問題は肩でしょ」

と肩をストレッチしても問題解決につながらない事例が多いのはこういった身体のシステムが機能しているからです。

 

 

したがって、

「何となく背中が詰まる・張る」

「腰も重たい感じがする」

といった問題を抱えた肩こり患者さんに対して、

他動・自動いずれかの手段でお尻の筋肉を引き上げる・引き締める

というトレーニングが結果的に肩のトラブルを改善させる戦略になり得ます。

 

 

分かりにくいところもあったかと思いますが、

身体の対角線上の問題についても配慮してみましょう

という話でした。

気になることなどありましたら個別にご相談下さいね。

 

 

 

 

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