週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

腰痛の原因を鑑別する

今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。

尾道で唯一の疼痛治療専門家 のブログへようこそ!

 

 

やっとブログのテーマにふさわしい内容を再開します。

 

当たり前のことかも知れませんが、

高齢者の身体は、その方のライフスタイルが年月を経て構造上の変化と、それに伴う組織の微細損傷を来たしている場合が多く、

いわゆる「健康老人」であっても高齢者の約50%が何かしらの「痛み」を抱えている、という現状があります。

 

したがって、

膨れ上がる介護問題や、医療費云々といった課題に対して我々セラピストが現場レベルで出来ることは、

高齢者の自立度に直結する「痛み」という問題をどれだけ改善に導けるか

に集約されると思っています。

それによって不必要な投薬や税金の流用を防ぎ、何よりも顧客の健康寿命を高める可能性を持った、唯一無二の職種だと信じています。

 

 

 

先日、腰痛を主訴に相談を受けた90歳代の男性の話です。

 

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私の存在を紹介されてやってきたその方は、身だしなみをきちんと整えておられ、一目で他者に依存することをよしとしない方だと分かりました。

 

「病院は行ってもまともに取り合ってくれんよ」

「揉み医者には何回か通ったことがあるんじゃが・・・」

「家の中でも杖をつかんと歩けんようなってね・・・」

 と、やはり色々な経験をされた上での来訪です。

 

地域柄、畑仕事をライフワークにされている方が多いのですが、

しゃがんだり土を掘ったりと機械的なストレスに晒され続けることで姿勢を制御する組織の筋疲労が慢性化し、徐々に本来のパフォーマンスを発揮しにくくなります。

 

これまで繰り返し紹介してきたように、

筋疲労が慢性化している組織を単純に「筋力が弱い」と一括りにして鍛えさせようとすると、かえって組織損傷を招くわけです。

 

その結果、

「頑張って脚の力をつけたり歩くリハビリをしてはいるんですけど痛みが強くて中々距離が伸びませんね・・・」

などと言い訳をすることになります。

 

 

高齢者の多くに見られる特徴として股関節の可動性、特に伸展方向への制限があります。

平たく言うと前傾姿勢をとりやすく、歩く時には股関節の動き自体が少ない

という現象です。

 

 

骨格筋の中で最も大きな「大殿筋」というお尻の筋肉は、姿勢を保つ上で重要な役割を担います。

 

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オーバーワークや老化によって大殿筋が硬くなる

→「お尻を引き締める」という機能が衰える

→上体が重力に負け背筋が過剰に働く

→頸から腰の全域が疲労し体幹の柔軟性も破綻する

 

結果、 

寝返りや起き上がること自体が難しくなり、体幹を使うあらゆる動作が稚拙になってくるんですね。

 

これが世間的に「年のせいですね」と言われて終わる腰痛の病態(の一例)ですが、

この方のフィジカルアセスメントにおいてもまさに大殿筋のトラブルを抱えていました。

 

 

したがって、エクササイズの目的は

「大殿筋の働きが安定して効率よく姿勢が保てるようになること」

体幹の柔軟性を確保すること」

となります。

 

 

硬さが取り除かれてくるとその場で「腰が軽く」なり、起きたり立ち上がったりが「楽になった」と自覚されるのが確認できます。

 

帰宅後は、これまで痛みのために出来なかった畑に出てみたところ調子よく作業ができたそうです。

 

 

現在のシステムでは、

高齢者は痛みのために生活に支障を来たした時点で認定を受け介護支援的なサービスを検討するところです。

しかし、

地域に筋骨格系に精通した「かかりつけ」がいれば適切なフィジカルアセスメントを基に早い段階で根本的な問題を解決出来る可能性が高まります。

 

私はそのような存在になるべく、日々出来るだけ多くのことを吸収して高い価値を提供するべく動いています。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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