痛みと脳の関係を知る
今日もアクセスいただき、本当にありがとうございます。
尾道で唯一の疼痛治療専門家 のブログへようこそ!
私は毎日「痛み」について考えているのですが、
このブログを読んでくださっている方は、
ひょっとしたら私のことを筋肉バカと認識されているかもしれません。
以前も紹介しましたが、
実は私はこれまでのセラピスト人生において「脳」について学ぶ時間の方が圧倒的に長く、
その延長で「痛み」という対象者が今すぐ何とかしたい問題にフォーカスしていくようになりました。
そう、昔はこんな記事を書いていました。
私にとってすでにお蔵入りになりつつあるサブブログの、かなり前の記事です。
要約すると
痛みとは「不快な経験」のことで、
何かしらのダメージによって引き起こされるのは当然なのだけど、
損傷が治癒した後も脳の中の感覚や情動、記憶を司る各部位に不快な経験は蓄積されており、
脳が記憶した痛みが慢性化することで運動や感覚を麻痺させることがある
というものです。
つまり、
脳に作られた「誤った情報」を正しいものにしていく作業が
疼痛のリハビリテーションである。(具体例はこちら↓)
この記事を書いていた頃と今では用いる戦術がなり異なっていますが、
慢性化している痛みに対してこれまでとは異なる感覚を提示し、
「不快な経験」から「心地よい経験」に変化することで
脳が感じ取っている情報を上書きして修正していく
そのような目的・戦略を共有しつつ「最適な戦術」をいつも考えているわけです。
手首の筋腱・神経を損傷したある患者さんは
幸いにも損傷した組織の問題は改善しているものの緊張や手の痛みが長期化し、
「他者が手に触れる」という行為自体が不快なものであった時期がありました。
損傷した部位から、
手首や指の機能が破綻しやすいことは想像できると思いますが、
「しっかり動かしなさい」
と医者から言われたところで、そもそも不快なものを使おうと思わないのが人間です。
この気持ちの悪いイラスト、
医療者なら一度は見たことがある「脳の中のコビト」です。
ざっくり言うと繊細な場所ほど脳に占める(影響を与える)割合も大きい
ということです。
手は「第二の脳」と言われるほど精密さが問われる部位です。
物に触れるという行為は、
物の感触を感じ取るという作業と言い換えることができますが、
まともに感じ取れない状態ではただ動かせという助言は非常に無責任です。
そこで、
損傷していない肩や肘に目を向けていきます。
何度か申し上げたように、上肢の土台は肩甲骨です。
たとえ指の損傷であっても、それによって身体が強張った状態を暫く続けていると身体の軸が変化してくることが想像出来るはずです。
そして、
指と筋膜的な連結のある肩甲骨を操作していくと
「小指の辺りがビリビリします」
「嫌な感じじゃないです」
「肩も張ってますね」
的な感覚が入って来るのです。
これを利用して、
セラピストが一切指に触れることなく指の動きを内側から感じ取ってもらう
→脳に手が動く感覚を思い出してもらう
→上肢全体の緊張が抑制されて動く準備ができる
という戦略が成立します。
つまり、こんな感じで↓
痛いのを堪えて一生懸命関節を曲げ伸ばししなくても
指の動きが改善してくる
という結果がもたらされます。
痛みを抱えた対象者に、
この戦略があるのと無いのでは結果が大きく異なります。
なぜなら、
表面的な動きだけ追い求めても患者さんは結局痛みしか入力されず
「この手を使いたい」という気持ちにならないからです。
結果、
リハビリにいつまでも依存している
という評価を下され
「患者が悪い」
「もう変わらないから打ち切りにしましょう」
という流れになります。
もし、
あなたの周りにそのようなお悩みを抱えている方がいらっしゃれば、一度お気軽にご相談いただければと思います。
今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
http://salon-mizuki-rehabilitation.strikingly.com/