週末に本気を出す療法士

自分の目に映る「リハビリ難民」を西洋と東洋、双方向から診る療法士。セミナー寅丸塾を不定期で開催しながら、普段は家でも職場でも子どもに振り回さる会社員。

支える力をつけるとは?

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ここのことろ優先事項が他にあり更新が遅くなりましたが、

先日から繰り返し強調している体幹シリーズです。

 

 

人間の運動において随意運動姿勢制御の両者が常に動員されており、

特に下部体幹インナーマッスルが担うコア・スタビリティというシステムが身体の土台として機能していることが効率的な運動に不可欠である

という内容をお送りしてきました。

 

もう一度コア・スタビリティの構成要素を紹介しますと、

腹横筋

多裂筋

骨盤底筋群

横隔膜

です。

 

筋、筋、筋・・・と来て「膜」が混じってますが、

横隔膜は最も重要な呼吸筋の1つで、呼吸に連動して常に上下に動くことで胸郭や腹腔の圧力を調整しています。

 

 

人間は進化の過程で姿勢と肩こりや腰痛との戦いを強いられるようになったわけですが、現代人はライフスタイル自体がハイリスクなものになってきています。

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こうしてパソコンに向かっている自分の姿勢も人のことは言えないかも知れませんが・・・

それはさておき、

ここでは「多裂筋」に焦点を当てて話を進めていきます。

 

 

そもそも多裂筋なんて聞いたこともない方も多いでしょうし、

セラピストですら気にしたこともない

という印象が少なからずある組織ですが、

すでに紹介したように姿勢制御における重要なインナーマッスルの1つです。

 

 

前回の「下手な絵」で解説したとおり、

姿勢をつくる主要な構造体は間違いなく脊椎です。

toratezza0316.hatenablog.com

 

多列筋の役割は関節を動かすことよりも適度な緊張を持続させて上下隣同士の脊椎(椎骨)を安定させることが主体ですが・・・

何せインナーマッスルなために他の筋肉(脊柱起立筋)に覆われ背骨の上からでは触れにくい筋肉です。

 

多裂筋は縦長で下の方ほど発達し、

骨盤の後ろの面に広がって付着していることから、

骨盤との連結が非常に強い筋肉であるとも言えます。

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腰痛を抱える方の多くがこの骨盤の後面辺りに圧痛を認める(太矢印の部分)ことから、

この付近を押さえてみて痛みが出る方は、この筋肉のトラブルを疑ってみることも重要です。

 

 

高齢者に限らず外傷後の方や日常的に同じ姿勢を長時間続けている方など、

体幹を捻る動き(回旋)や横に倒す動き(側屈)をしていただくと軒並み

「全然動かん」

もしくは

「右の方が回りやすい」

など、何かしらの違和感を訴えるという現象がしばしば確認できます。

 

そして、

多列筋の骨盤付着部辺りを押さえてもう一度体幹を回旋や側屈動作をしてもらうと、

「さっきより回しやすい」

「左が軽くなった」

といった変化が高頻度に生じます。

 

 

理屈としてはインナーマッスルである多列筋に外から圧を加えることで脊柱の安定性が一時的に向上し、アウターマッスルである起立筋の負担が減り効率的な筋出力を発揮することができる

ということになります。

 

 

もしあなたにこの現象が当てはまるなら、

多裂筋の慢性的な疲労や萎縮、緊張が動きを阻害している可能性が高いです。

 

そして、

骨盤と連結しているということは股関節の柔らかさにも強く影響される

ことが分かります。

 

 

繰り返し述べていますが、 

姿勢を維持するということは瞬間的な強いトルクではなく持続的な出力が求められる

=弾性と支持性を確保することが絶対的な優先課題になります。

 

したがって、

トレーニングの目的は背中から股関節にかけての動きを軽くすること

が課題になってきます。

 

いわゆる「腹筋運動」のような表面の筋肉を使う運動よりも、

呼吸が止まらないように背中やお尻を引き締める姿勢を意図的につくることも有効です(↓例)。

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実際のセルフエクササイズはセラピストによる鑑別と指導の元、というのがセオリーでしょう。

 

今回は多裂筋についてざっと紹介してきましたが、次の記事ではまた別の視点で体幹について語っていければと思います。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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痛みとコア・スタビリティの関連

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前回から体幹をテーマにした記事を書いています。

 

おさらいすると・・・

 

人間の運動は随意運動姿勢制御に分けられ、

何気ない動作一つにも随意と姿勢 両者が常に身体を制御しています。

 

リハビリテーションの対象者の多くは姿勢に関わる機能不全がメジャーで、

それを随意運動によって補うために機械的なストレスを蓄積し局所的な痛みや動きの非効率性が出現してくるわけです。

 

したがって、

対象者が痛みから解放され円滑な運動を遂行出来るようになるためには姿勢制御にフォーカスしたトレーニングが有効であることが多い

といった結論で締めくくりました。

 

 

姿勢が重要だってことはなんとなく伝わったけど、具体的にどうすればいいんじゃい?

といった声が聞こえてきそうですが、

この記事では姿勢制御の要となるコア・スタビリティについて解説していきます。

 

 

 

ところで、人間の骨格筋は

関節を動かす役割を持つものと、

関節を制動する役割を持つものに分けられます。

 

ざっくり言うと

関節を動かす筋肉をアウターマッスル

骨と骨をつなぎ止めて安定を保つ筋肉をインナーマッスル

と呼びます。

 

 

したがって、

人間の身体はインナーマッスルが骨と骨の位置を適切に保ちながらアウターマッスル関節を動かすことで一定のスタビリティ(安定)を確保します(下図)。

 

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急に図のクオリティが下がったことはあまり気にしないでください・・・

 

仮にインナーマッスルが存在せずアウターマッスルだけで運動を行おうとすると、

右のように筋肉の付着部にのみ強い牽引力が発生し、

その間にある構造体へのストレスが生じて骨同士の衝突から痛みや損傷へと繋がることが容易に想像できますね。

 

 

ということで、

我々が体を捻ったりしならせたりと、脊椎(背骨)を動かしても1つ1つの骨の位置がズレずに協調的な脊椎の動きが再現されるのは、

インナーマッスルが関節を安定させているおかげであることが分かります。

 

 

そもそも

コア=中核・核心

という言葉が示すように、

身体の中心に相当する下部体幹インナーマッスルが家で言う基礎に相当するわけで、この部分を構成する筋肉をまとめてコア・スタビリティと呼んでいます。

 

具体的には、

腹横筋・多裂筋、骨盤底筋群、そして横隔膜という4種類です。

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筋肉の名称はともかく、

お腹という三次元的な空間に上下左右前後から圧をかけて(=腹圧)上半身を乗せる土台として機能させている訳です。

 

以前こんな記事を書きましたが、

toratezza0316.hatenablog.com

 

身体を支えるという働きは「固める」ことではなく、衝撃を逃がすことで損傷から守る必要があるわけで、

弾性と支持性を合わせ持った状態です。

 

 

まとめていくと

コア・スタビリティとは下部体幹インナーマッスルであり、適度な腹圧を調整してあらゆる身体の円滑な動きを作り出す土台である

 

老化や外傷などでインナーマッスルが疲労しアウターマッスルに依存した状態が続くことで微細損傷が蓄積し、痛みという現象が出現する

 

と結論付けます。

 

 

次回の記事では、筋膜的な連結や具体的なエクササイズについて触れていきます。

 

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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姿勢が痛みの改善に役立つ!?

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ブログを始めて半年経ちましたが、やっと記事を50個書くことができました。

多くのブロガーさんの記事もたくさん拝見し、皆さんとてもエネルギーの要る作業を続けているなと感じました。

 

そこで、

1つの記事を長々と書くことよりも伝えるべきことを明確にして、

数回に分けてお伝えしていくという方法も導入してみようと思います。

 

 

 

ここではセラピストにとって体幹の重要性について言及していきます。

やや難しい表現も含まれますが、かみ砕いて説明できるかは自分の表現力次第です・・・

 

 

さて、

あなたがもしセラピストなら、次の質問には明確に答えられなければなりません。

 

 

 

 

 

「人間の運動を2つに分けると?」

 

 

 

 

 

これに対する私にとっての正解は

  • 随意運動
  • 姿勢制御

の2つです。

決して「手の運動と足の運動」ではありません。

 

 

随意運動は「コップを取ろう」とか「脚を上げよう」といった意思に基づいた運動のことで、

平たく言うと「目的のある関節運動」です。

 

 

一方、

姿勢制御は意思とは関係なくオートマチックに機能している要素です。

例えば「座っているときの背筋の持続的な収縮」や「手を伸ばしたときの重心の変化に対するバランスの取り方」など、

体幹を中心とした「支える働き」が主体です。

 

 

つまり、

我々が違和感なく高いところに手を伸ばしたりボールを蹴ったりと随意的な運動を円滑に遂行できるのは、

それを支えてくれる不随意的な姿勢制御が機能してくれているためだと分かります。

 

 

専門的な表現をすると

随意運動は外側運動制御系

姿勢制御は内側運動制御系

 

といい中枢神経系から出力される神経経路自体が異なっており、

2つの経路は別々のものではあるけれども

協調的に機能することで効率のよい運動がつくられている(↓下図)

この事実に基づいてリハビリテーションは展開されていくことが望ましい訳です。

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高齢者や外傷後などで身体構造に変化を来たした対象者の多くが

「脚が弱った」「背中が曲がった」

などの問題を訴えらますが、

これに対して「随意」と「姿勢」のどちらに問題があるのか?

という疑問を持つ習慣が求められます。

 

 

経験上、

姿勢制御が機能せず随意運動によって代償している対象者が圧倒的に多いです。

 

彼らは客観的には動けているけれども協調的でなく、オートマチックに制御するべきところを随意的に(=力むことで)支えています。

同じ部位への繰り返される機械的なストレスから「痛み」を感じるようになります。

 

 

それを解決するには姿勢に関わる要素の改善が必須です。

 

つまり、

姿勢が安定する

→最適な筋出力を調整出来るようになる

→代償的な力みがなくなる

→局所的なストレスが改善し痛みが軽減する

 

といった具合に、運動の効率を上げることで結果的に痛みが制御されます。

 

 

リハビリテーションにおいて、

現象として筋力が低下している対象者の問題を随意運動と姿勢制御のパワーバランスの問題と捉えることで戦略が変わってくることが分かります。

 

 

 次回はコア・スタビリティについて掘り下げていきます。

 

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内蔵を動かすリハビリテーション

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つい先日のことですが、肥満の方が集団でダイエットに取り組むテレビ番組についつい見入ってしまいました。

 

体脂肪だらけの彼らを相手に、あの手この手で痩せるための戦略を使っていく訳ですが、

肥満の身体にムチ打って限りなく限界まで追い込む

という作業を繰り返した結果、どうにか8人合せて100kg分の減量に成功する

という、ある意味感動的な番組でした。

 

 

何が言いたいのかというと、

プロのトレーナーは筋骨格の問題内蔵の問題の両者にフォーカスしている

というとです。

 

我々の業務は何かしら身体に問題を抱えている対象者への指導という点で共通する部分が多いのですが、

一般的にセラピストは対象者の筋骨格に対するトレーニングしか提供しない

という現状があります。

 

番組内で、トレーナーは

彼らの「内臓脂肪」を燃やして中身から改善させることを目的に「内臓をひねる」「美腸エクササイズ」などを戦略として用いていました。

つまり体幹へ刺激を入れて消化器官や臓器の働きを活性化させる

という作業を意図的にされていたのですね。

 

 

以前こんな記事を書きましたが・・・ 

toratezza0316.hatenablog.com

 

おさらいになりますが、

  • 筋膜と内臓は密接につながっており、内臓が過負荷に晒された状態では骨格筋の働きも鈍ってくること
  • 現代人はとかく内臓に負担をかける生活様式であること

 

ということです。

 

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臓器には様々な役割がありますが、ざっと分類すると

消化、吸収、排泄、解毒、循環、免疫 

といった具合です。

 

 

これまでの臨床経験から、

何らかの痛みを抱えた方は大抵これらの機能が停滞している印象があります。

 

例えば、

慢性的に痛み止めを服薬している方の肝臓付近の腹膜は緊張しやすい傾向にある(肝臓は異物に対して解毒作用を発揮するため)し、

腰痛のある方の骨盤付近の腸の蠕動運動は乏しくなっていることもしばしば見かけます。

 

自分のお腹に手を当てて少軽く圧迫を加えたとき、

  • 硬さや緊張感に左右差がある
  • 明らかに痛みを感じる部位がある
  • そもそも肋骨や骨盤の位置が左右で違う

 

など、何かしらの異変を感じる部位があれば、その場所に相当する器官のストレスが考慮されます。

 

あなたがもし痛みを抱えているのであれば、

一度自分の身体の中で恒常性の低下している要素について確認してみる、見当をつけることも重要になりそうですね。

 

 

西洋医学は間違いなく救命や治療の質を高めましたが、身体の原理原則に則って自然治癒力を高めるための医療はどちらかというと遅れています。

 

 

具体的な問題解決については個別に相談させていただいておりますし、また追って紹介させていただければと思います。

 

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頭痛に対する治療とは?

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最近、気候の変動に伴って妻に頭痛の症状が現れました。

元々生理不順で身体も硬く、小柄な体格に同職種者という職業柄 身体的なストレスが蓄積されやすいようです。

 

筋膜性のトラブルに関しては比較的簡単にコントロールできるのですが、女性の身体は何せ複雑です。

 

以前こんな記事を書きましたが・・・

toratezza0316.hatenablog.com

 

 少しおさらいすると、

人間の呼吸方法は「肺」ともう一つ、

脳と脊髄の表面を流れる「脳脊髄液の循環」

によって成り立っています。

 

脳脊髄液とは、衝撃を吸収し栄養分と老廃物を血流と交換することによって中枢神経(脳と脊髄)を支える水分のことで、

豆腐のように柔らかくデリケートな脳を取り囲むことで保護しているわけですね。

 

現代人は情報過多な世界に住んでおり、とにかく脳へのストレスが著しい上に栄養や消費のバランスも怪しくなりがちです。

 

すると、

中枢神経系の疲労に対して脳脊髄液からの供給が追いつかない

という事態が発生します。

 

したがって、

脳や脊髄が栄養不足になればホルモンや自律神経関連のトラブルが出現してくる

ということも理解しやすいかと思います。

 

代表的な現象としては頭痛、生理痛、冷え症、便秘、腰痛etc...

 

これらの問題は女性に多い傾向にあります(女性にしかないものもありますが・・・)が、

やはり身体構造的に男性よりも女性の方が脆弱性が高いということなのでしょうか。

 

これらのトラブルを改善させるためにはライフスタイルや生活環境の見直しが重要になってきます。

 

ただし、

我々は「はいそうですか」と自分の生活パターンを聖人君子のごとく整えることなどまずできませんし、

そもそも目に見えない指標に対してストイックに取り組むモチベーションを維持すること自体が人間は苦手です。

 

 

そこで、

セラピストである私は、外から循環を改善させるという方法を選択します。

 

以前にも申し上げたように、

頭の骨は一塊のものではなく伸び縮みするような構造になっており、脳脊髄液の循環に合せて頭の丸みが膨らんだりしぼんだりする

=「一次呼吸」が成立しています。

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ちょうど歯車のように頭の骨同士が連動して機能しているといった感覚でしょうか。

 

妻の場合、

頭を覆うように両手で触れたとき、右側に対して左側の動きが不鮮明で頭皮の滑りも抵抗がありました。(もっとも、頭の動きなんてコピー用紙1枚分程度の厚みの変化しかありませんが・・・)

 

これに対して左の動きを広げていくような操作を加えます。

 

すると、

頭蓋骨の動きに対称的なものになってきます。

 

その直後、

「頭がスッキリした」

「軽くなったよ」

「痛みがどっか行った」

と明らかに変化が生じます。

 

一次呼吸の状態が身体のコンディションにおいて極めて重要であることが分かりますね。

 

 

脳血管関連の病態をお持ちの方などは、特にこの辺りのフィジカルアセスメントが必要ではないでしょうか。

脳の可塑性(元に戻ろうとする力)を発揮する上では脳が良好な栄養状態を確保することが大前提です。

セラピストは目に見える現象だけでなく、身体の原理原則に基づいた治療を考慮してみてはいかがでしょうか。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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腰痛の原因を鑑別する

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やっとブログのテーマにふさわしい内容を再開します。

 

当たり前のことかも知れませんが、

高齢者の身体は、その方のライフスタイルが年月を経て構造上の変化と、それに伴う組織の微細損傷を来たしている場合が多く、

いわゆる「健康老人」であっても高齢者の約50%が何かしらの「痛み」を抱えている、という現状があります。

 

したがって、

膨れ上がる介護問題や、医療費云々といった課題に対して我々セラピストが現場レベルで出来ることは、

高齢者の自立度に直結する「痛み」という問題をどれだけ改善に導けるか

に集約されると思っています。

それによって不必要な投薬や税金の流用を防ぎ、何よりも顧客の健康寿命を高める可能性を持った、唯一無二の職種だと信じています。

 

 

 

先日、腰痛を主訴に相談を受けた90歳代の男性の話です。

 

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私の存在を紹介されてやってきたその方は、身だしなみをきちんと整えておられ、一目で他者に依存することをよしとしない方だと分かりました。

 

「病院は行ってもまともに取り合ってくれんよ」

「揉み医者には何回か通ったことがあるんじゃが・・・」

「家の中でも杖をつかんと歩けんようなってね・・・」

 と、やはり色々な経験をされた上での来訪です。

 

地域柄、畑仕事をライフワークにされている方が多いのですが、

しゃがんだり土を掘ったりと機械的なストレスに晒され続けることで姿勢を制御する組織の筋疲労が慢性化し、徐々に本来のパフォーマンスを発揮しにくくなります。

 

これまで繰り返し紹介してきたように、

筋疲労が慢性化している組織を単純に「筋力が弱い」と一括りにして鍛えさせようとすると、かえって組織損傷を招くわけです。

 

その結果、

「頑張って脚の力をつけたり歩くリハビリをしてはいるんですけど痛みが強くて中々距離が伸びませんね・・・」

などと言い訳をすることになります。

 

 

高齢者の多くに見られる特徴として股関節の可動性、特に伸展方向への制限があります。

平たく言うと前傾姿勢をとりやすく、歩く時には股関節の動き自体が少ない

という現象です。

 

 

骨格筋の中で最も大きな「大殿筋」というお尻の筋肉は、姿勢を保つ上で重要な役割を担います。

 

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オーバーワークや老化によって大殿筋が硬くなる

→「お尻を引き締める」という機能が衰える

→上体が重力に負け背筋が過剰に働く

→頸から腰の全域が疲労し体幹の柔軟性も破綻する

 

結果、 

寝返りや起き上がること自体が難しくなり、体幹を使うあらゆる動作が稚拙になってくるんですね。

 

これが世間的に「年のせいですね」と言われて終わる腰痛の病態(の一例)ですが、

この方のフィジカルアセスメントにおいてもまさに大殿筋のトラブルを抱えていました。

 

 

したがって、エクササイズの目的は

「大殿筋の働きが安定して効率よく姿勢が保てるようになること」

体幹の柔軟性を確保すること」

となります。

 

 

硬さが取り除かれてくるとその場で「腰が軽く」なり、起きたり立ち上がったりが「楽になった」と自覚されるのが確認できます。

 

帰宅後は、これまで痛みのために出来なかった畑に出てみたところ調子よく作業ができたそうです。

 

 

現在のシステムでは、

高齢者は痛みのために生活に支障を来たした時点で認定を受け介護支援的なサービスを検討するところです。

しかし、

地域に筋骨格系に精通した「かかりつけ」がいれば適切なフィジカルアセスメントを基に早い段階で根本的な問題を解決出来る可能性が高まります。

 

私はそのような存在になるべく、日々出来るだけ多くのことを吸収して高い価値を提供するべく動いています。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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高い水準のルーティンをつくる

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そろそろ臨床的な内容を含んだ記事を再開していこうと思います。

その前に、

少し前から戦うステージが変わり、働き方にゆとりを感じるようになりました。

 

結果、

朝のピリピリした感じや迷走してばかりの組織の方向性に振り回されることなく、穏やかな気持ちで臨めるようになりました。

 

思いのほかメンタルコンディションは重要で、対象者と向き合う前に自分の内面が安定していることで精度が上がって来たように感じます。

 

また、

私の価値を認めて下さる新しい繋がりができ、私自身も「与える者」としての人生のタスクを大切にしていきたいと思っています。

 

 

さて、

我々セラピストに限らずあらゆる仕事には「引き継ぎ」というものがあります。

 

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前任者から仕事の内容を受け、消化した上で自分の能力が発揮できる戦略へと落とし込む作業だと理解しています。

 

したがって、

「前任者と全く同じことをしなければならない」などということはほぼないでしょう。

 

 

ある仕事の目的に対して、

目先の目標やそれに到達するために必要な戦略を立て、

実際の戦術として実働する。

 

つまり、

引き継ぐときに最も重要なのは顧客が抱える問題や利用できるリソース、長期的な展望などであって、具体的な手段は新しい担当者が自分の価値感と責任において判断することだと思っています。

 

特に専門家の集団では、それらが横の関係を築く上で重要です。

 

「〇〇を何回」

「××を何分」

「△周歩く」

というメニューの押しつけはいわゆる「使いっ走りのデレゲーション」と呼びます。

 

レゲーションとは、所有している権利や責任を他者に譲ることです。

「こうしろ」「ああしろ」という戦術のみの指示は極端な話「奴隷やパシリ」として扱うということになり、責任も権利も譲ったことにはならないため指示した方の負担は変わらず有能な人材も育ちません。

 

仕事を任せる相手の自由意志や自覚、良心、想像力を尊重すること、結果に責任を持たせることで、時間はかかるが後に何倍もの効果を生み出すことに繋がる

とスティーブン・R.コヴィーは言います。

 

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世界的に有名な著書ですし、全てを紹介するとなると非常に骨が折れる作業になりますが何度読み返してもその都度気づきが得られる本です。

 

いつの間にか臨床関係なく最近のパターンになってしまっていますが・・・

セラピスト1人1人が自己責任において課題と向き合うことをルーティンワークとしていけるよう働きかけていきたいと思っています。

 

 

7つの習慣についてはまた事ある毎に触れていこうと考えています。

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。