尾道の疼痛専門セラピスト のブログ

「痛み」の専門家で病院勤務を経て起業した作業療法士のてっつぁんです。徒手医学とリハビリテーションについてのマーケティングをしています。

不定愁訴みたいな訴えを科学的に分析すると何かが見えてくる。

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ついに雪が降り始めました。

「寒いと身体が縮こまる」人が多いように、お客さまのパフォーマンスも軒並み低下している印象を受けます。

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病院では上から指示された通りに仕事が降ってきますが、フリーで仕事をしていると実に様々な依頼が舞い込んできます。

 

その中でも、特に難易度が高いのがいわゆる「不定愁訴」という部類に入る相談です。

 

例えば

「ちょっと歩いただけでヘトヘトになる」

「寝て過ごす方が多い」

「運動しても余計にしんどいだけ」

 etc・・・

 

このような患者さんは、病院では基本的に「また怠けて同じこと言ってる」的なニュアンスに取られがちです。

 

 

表面的には「元気な人」なので血液検査やレントゲンなどに異常所見がなければ(あっても?)ドクターはどうすることもできません。

ましてやリハビリテーションが処方されることもないわけです。

 

 

しかし、本人はそれでもなんとかしてくれる人を求め、偶然にも当店にたどり着きます。

 

 

話をよく聴いていくと、

骨盤が不安定で股関節の可動性が非常に狭い

呼吸筋が弱化し常に肩で息をしている

しょっちゅうのどが渇く→飲水→トイレに行く といった現象に代表されるように体内恒常性が破綻している

 

といったコンディションの問題を会話や観察から伺い知ることができます。

 

したがって、

見た目元気で第三者には「怠けている」ようにも見えるこの顧客の問題は

筋骨格系のトラブル以前に内部器官の機能低下を起こしていることが分ります。

 

 

ここで言う内部器官の機能低下とは、

「肝臓の数値が悪い」

とか

「ポリープがある」

といった明確なことではなく、

姿勢不良が慢性化して体幹の弾性が低下した結果、

五臓六腑に物理的なストレスが生じている状態を指します。

 

 

実際に触診をしていくと、

肝臓や腎臓、横隔膜といった組織の圧迫感が著しく、明らかに本来のパフォーマンスを発揮出来ていない状態です。

 

 

これに対して、

まず腹部を上から圧迫している横隔膜の働きを改善させる必要性を感じます。

 

そして、

目に見えない各臓器の腹膜や筋膜に対する運動性を引き出すように操作を加えていきます。

 

 

それらを繰り返していくと・・・

「身体が軽くなったね」

「最近、立つ時に物につかまらんでよくなった。片足でも立てるよ、ほら」

「便通がよくなったんよ」

 

など、生活上で明らかな変化が生じてきたようです。

 

 

もちろん、

年単位で慢性化した内部の問題を徒手的に変化させるにはそれなりの期間を要していますが、

本人の投資があって初めて問題の把握と適切なエクササイズへと提供できるわけです。

 

 

地域で活動していると、病院ではとてもお目にかかれないような相談に出くわすことがあります。

 

しかし、問題を見極める目と引き出し次第で「よく分らない不調」に対しても価値をもたらすことが出来るようになります。

 

 

一言で表現すると体質改善に向けたエクササイズです。

 

 

リハビリ難民の抱える問題は根深いですが、痛みや不調の原因を可能な限り鑑別することで今日も健康寿命に貢献します。

 

 

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出来ることを増やそうとした結果痛みが増えた!?

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脳卒中リハビリテーションについて、前回から記事にしています。

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今の私の勤務先(非常勤)は病院ではなく老人保健施設ですので、発症直後の急性症状を診ることはなくなりました。

 

代わりに、問題が慢性化し家では生活できない、もしくは何かサポートがないと悪化してしまうと判断された方の症状を診ています。

 

 

その中でも重症例の一つが、

脳卒中発症後数ヶ月~数年経過し、身体がガチガチに固まっており何をするのも痛いという対象者です。

 

このような方は大抵の場合、急性期・回復期とリハビリを長く受けてきた方なのですが、

なぜリハビリを続けてきたのにむしろ状態が悪くなってしまったのか?

という疑問が生じます。

 

 

 

脳卒中により片麻痺(片側の手足の麻痺)を生じた対象者の問題は客観的には

「手足が思うように動かせない」

ということなのですが、

それなら悪くなってない側で補えばそこそこ動けるんじゃないか?

と何となく思いがちになります。

 

しかし、

実際には非常に動きが下手な方ばかり。

それは片麻痺という現象が随意運動の問題以上に姿勢制御の問題を誘発しているからです。

 

随意運動/姿勢制御についての記事はコチラ↓

toratezza0316.hatenablog.com

 

重症な方ほど、姿勢制御に関する要素が破綻し

「どうやって坐るのか忘れた」状態になる傾向にあります。

 

 

細かいメカニズムについてはここでは伏せておきますが、

以前も言及したようにこの状態になると人間は少しでも安定を得ようと身体を固めるという戦略に走ります。

 

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ただでさえ不安定に感じているところに、

更に動きを次から次へと要求していくと身体は緊張した状態が当たり前になり、

典型的な片麻痺っぽい姿勢」ができあがっていきます。

 

 

そして、

ぎこちない動きしかできない患者さんに「力をつけなさい」と誰もが声をかけるため事態は悪化していき、

慢性的に筋疲労を起こしたある日「肩が痛い」「脚が痛い」と仰るようになります。

 

つまり、

対象者が痛みを訴える原因はセラピストの指導に問題がある

可能性があります。

 

ただ、

現在の医療体制自体が「早く動かす」「出来ること増やす」ことをやたらと強調しがちになっていることもあり、

一概にセラピストだけのせいではないが

直接患者の人生に影響を与えるセラピスト自身に優先順位を見極める目がないと話にならない

ことを繰り返しておきます。

 

 

 

 話を戻しますが、

身動きするのも痛みが伴うほどの慢性化した問題を抱える脳卒中患者さんの体幹はほぼフリーズしているため

骨格筋(=腹筋・背筋・呼吸筋)も平滑筋(=内臓)もバカになっている可能性が非常に高いと言えます。

 

 

 

ある脳出血後約1年経過した患者さんと初めて対峙したとき、

麻痺自体はそこまで重症ではないものの、麻痺した左半身をどう動かしても痛みが出現し「寝返りもできない」状態です。

 

 

これに対して、直感的に隔膜の機能不全を疑います。

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隔膜とは、人体の器官や組織を仕切る「繋ぎ目」に当たる部分(電車で言えば車両と車両の連結部位)で、

どのような動きであってもここが柔軟でなければ何一つ円滑な動作として遂行出来ません。(赤線を引いた部位を全く動かさずにベッドから起き上がれる人がいたら紹介して下さい)

 

 

つまり、重症度の高い対象者ほど「離床した・しない」という論点ではなく身体を分節的に捉えて課題の優先順位を探る努力が必要なのです。

 

 

 

ちなみに、

先ほどの対象者の場合は横隔膜が固まり過ぎて呼吸がメチャメチャ浅い。

 

⇒まずは横隔膜がそこそこ働ける状態にまずは持って行く必要がある。

 

そこで下部体幹の筋活動をアシストしていくと腹部に動きが出てきて「気持ちがいい」「楽になった」という変化が現れてきます。

 

もちろん問題が慢性化しているので少しずつ変化を定着していく作業になるのですが、ネガティブな感覚がポジティブなものに上書きされていくことは緊張状態を解く最大の戦略になり得ます。

 

 

 

 

とまぁ、内容が内容なだけに今回も専門的なお話になってしまいましたが、

不用意に目に見える動きばかりを追求した結果、自分たちが問題を悪化させていないか?

と、世のセラピストは今一度真剣に考えましょう。

 

楽じゃないけど、徒手的な操作でしか改善に導けない事例がたくさんあることを肝に銘じて、個別に問題と向き合いましょう。

 

 

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「〇〇が出来る」とは「問題がない」という意味ではない

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寒くなりましたね。

この時期、病院では脳血管疾患、いわゆる脳卒中患者が急増してきます。

今日はそんなお話です。

 

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どんな肩書きを持っていようとも、

療法士にとって脳卒中患者さんと向き合うことは避けて通れない業務の一つです。

 

 

そもそも脳卒中とは主に、

脳に栄養を届ける血管のどこかが「切れる」ことで狭い空間に血液が溢れ脳細胞を圧迫・破壊する脳出血と、

血管が「詰まる」ことでそこから先の脳細胞に栄養が途絶え壊死させる脳梗塞

とに分けられます。

 

 

死んだ脳細胞が手の動きを支配していたのであれば手の麻痺、

言葉をつくる領域なら言語障害

など実に様々な問題を引き起こします。

 

 

最もよく知られる症状は片麻痺(片側の手足が麻痺した状態)ですが、 

現代医学では脳細胞を再生させることは不可能で、

教科書的に言うと生じた問題が完治することはないためリハビリテーションの目的は何かというと「出来ることを増やす」です。

 

 

この文言の解釈がセラピストの力量やセンス・信念によって様々で、チーム医療を展開する上で最も組織の統制が問われる部分だと私は思っています。

 

 

私自身、病院のベッドで思うように動けない対象者を何度も目の当たりにして来ました。

 

彼らは一刻も早く元のようになりたい、歩きたい、仕事に戻りたい、日常に帰りたい・・・

と感じてはいますが、同時にいきなりそこへたどり着くことが非現実的な願いであることも分かっています。

 

 

そんな彼らに、最初のステップとしてどのようなショートゴールを提示し同じ方向を向いていけるか?

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リハビリテーションとは、その小さな目標階段の積み重ねです。

 

 

そこで、

赤ん坊の発達を思い浮かべると目標の立て方が見えてきます。

 

生まれて間もない赤ちゃんを無理矢理立たせても身体を上手く支えることなど絶対に出来ないし、

むしろ「原始反射」という、身体を強張らせて逃げようとする反射活動が引き起こされますね。

その子が自分で立てるようになるまでには、ざっくり分けても

 頸がすわる

→寝返る

→おすわり

→這う

→つかまり立つ

 

というプロセスを経なければなりません。

 

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もっとも、

赤ちゃんは意識的にトレーニングして出来るようになったわけでなく、親や外部環境と接触することで自然に学んでいくものですが・・・

 

 

 

話を戻しますが、

人間が重力に抗して二本の脚で歩くまでには、このように様々な準備段階というものがあります。

 

極端な話、

支えながらやっとこさ座れる段階の対象者にどれだけセラピストが頑張って「歩行訓練」を提供しても適切な力の使い方が学習されることはありません。

なぜなら「脚よりも面積の広いお尻で体重を支えることが出来ていない」からです。

 

 

また、

「出来た」「出来ない」が判断基準になると、

「ベッド柵を引っ張れば寝返りができるけど柵がないと何も出来ない」

という患者さんあるあるもよく生じます。

 

こういった例では、

体幹」を使うことなく腕の力で出来たように見せるために、根本的な問題解決にはなっていません。

 

toratezza0316.hatenablog.com

 

ですが、

今の医療は厳しく殆どの病院で「出来るのならなぜさっさと歩かせないんだ」と上から圧力がかかります。

よっぽど自分を持ったセラピストでない限り、

患者さんのペースに合わせるという最も重要な部分がおろそかになりがちです。

 

 

そもそも、

脳卒中を発症した=大なり小なり循環器系のリスクがある

という大前提があります。

 

「血圧はコントロールしたからしっかり動かせ」

と言われようが言われまいが、

我々はまず何を優先すべきかを明確にする必要がありますね。

 

 

次回に続きます。

 

 

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お医者さんの「しっかり運動しなさい」を真に受けてしまうあなたへ

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このブログは、

元々病院で勤務していたリハビリのプロが起業したことで、遠慮なく病院の理不尽な体質や専門家まがいの連中が不思議な指導をしている様子を皮肉りつつ価値ある情報・正しい知識を皆様にお伝えする

 

そのようなコンセプトでお送りしています。

 

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私のお客さまの大半が何かしら医療機関への不満を持たれており、それをお聴きする機会が圧倒的に増えたためにお客さまの声を代弁する部分もちょくちょく出てきます。

 

 

私も医療機関で長年やってきた人間ですので、病院の重要性は嫌というほど分かっていますが、

ことリハビリテーションにおいては周囲からは未だにブラックボックス的な意識が強く、

頑張るもの・しんどいもの

というイメージが医療者側にも存在します。

 

 

日本の制度上、

ドクターの指示の下にコメディカルが従う

という確かなヒエラルキーが存在するため

「痛みは薬で抑えるからしっかり運動させなさい」

という処方も日常的に飛び交います。

 

 

服薬によって痛みが消失していればそれもありかも知れませんが、

実際には多少マシな程度か感覚が麻痺してしまっている、しんどい

など、副作用や違和感を抱えたまま対象者は「なぜこんなしんどい思いをしてまで頑張らなきゃいけないの?」

的な思考に陥りがちです。

 

 

そこで、

我々現場で対象者に触れるセラピストには選択肢があります。

 

1.ドクターの言われた通りにトレーニングをさせる

2.リハビリテーションの目的を明確にした上で優先事項を優先する

 

 

 

 

どちらを選ぶかは自由ですが・・・

スポーツ障害でもない限り、ほぼ全ての対象者の目的は「楽に動けること」です。

 

 

「楽に動けない」対象者の抱える問題をざっと挙げると、

 

・姿勢が崩れている

・呼吸が浅い

・身体全体が強張っている

・内部器官の恒常性が崩れている

・血行障害

・筋断裂

・ホルモンバランスの破綻

etc・・・

 

など、挙げればキリがないのですが、

これらは関連性のない別々の問題などでは決してなく、重症な人になるほど複合的なトラブルを抱える傾向にあります。

 

例えば、

「立っているだけでもしんどくなる」

と仰る方の抱えやすい問題について考えてみると、

慢性的な姿勢不良に伴い呼吸筋の活動が抑制され上半身が重力に負けてしまう。

すると、

腹腔内の臓器が骨盤に挟まれ圧迫された結果、消化吸収や解毒排泄などの機能が抑圧され循環不全に陥り

「常に身体が重たい」

「腰が痛い」

「すぐに体調を崩す」

 などのトラブルを引き起こします。

 

これらの問題を解決するには姿勢に関わる要素を改善させる操作を加える必要があります。

 

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つまり、

「〇m歩けば良くなる」

「鍛えれば元気になる」

という考え方とは根本的に異なるものです。

 

なお、

ウォーキングやセルフエクササイズで改善する人ももちろんいますが、あくまでも軽症の方です。

 

一定水準以上の不調に対してはプロフェッショナルによる鑑別と治療が必要です。

 

 

お医者さんは診断と薬の専門家ですが、運動の専門家ではない

 

我々は素人の意見に左右されることなく、プロとして自分の目で対象者の問題に向き合う努力が必要です。

 

 

 

「しっかり動く」前に「動けるコンディションに引き上げる」という作業の重要性。

 

 

一流のスポーツ選手は1日も欠かさず自分のパフォーマンスを磨いています。

セラピストにもそのようなマインドが定着していくと、もっと顧客の利益につながるでしょうね。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

 

 

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リハビリを受ける人全てに目的がある訳じゃない。

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お久しぶりです。

 

いつの間にかお客さまから心配されるほど疲労が顔に出ていたようで、休める時にちゃんと休まないと・・・

な今日この頃です。

 

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ま、それはともかく・・・

今日は私の非常勤先である、老人保健施設での一コマを記事にします。

 

 

いわゆる「デイサービス」と呼ばれる、

介護保険で要介護・要支援認定を受けた高齢者が集まり、日中の活動や他者と交流するサービスを提供するこの施設では、

デイサービスの時間内で利用者の方に個別に「リハビリ」を実施する時間も設けられています。

 

対象者は要介護認定を受けている方ばかりですから当然何かしら身体に問題を抱えており、 

脳卒中や外傷に限らず、「歳のせい」からくる腰痛・膝痛・肩こり・・・

それはもう多彩です。

 

そして、

明確な目的を持ってリハビリテーションに参加する方もいれば、そうでない方も少なくない訳です。

 

なぜリハビリにあまり積極的でない方が多いのか?

それについてこの数ヶ月で感じたこと。

 

・利用者の多くは数(十)年来痛みや不調を抱えたまま過ごしている

・いい意味でも悪い意味でもルーチンワークが慢性化し、メニューをこなすだけになっている

・利用者自身が変化を感じないため、参加する価値も感じられないでいる

 

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最初はどうにかしたいと思っていても、やがて「やっぱりどうにもならない」と落胆し考えることをやめてしまう

⇒筋トレはしんどいがとりあえず揉んでもらったら痛みが少し和らぐ

⇒「ここを揉んで下さい」

などと受動的な目的にすり替わっていく

のが現状のようです。

 

つまり我々に対する利用者の認識は「揉み医者」「マッサージ屋」と遜色ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・大変マズい状況です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある利用者のリハビリを依頼されたとき、

その方は「指が曲がったまま伸ばせない」という慢性的な問題を抱えていました。

 

しかし、その方は

もうさんざん使ってきたからしょうがない、あと何年も生きちゃおらんし諦めた

と、発言を聞く限り問題解決への意欲がない状態でした。

 

 

私がここで仕事をするずっと以前から通われている方ですが、「揉んでもらったら脚が少し楽になるからそのくらいはお願いします」

という意識が定着していました。

 

もちろん「楽になる」という感覚はとても重要なのですが、何かが違う

 

そこで質問をしてみます。

私「やっぱり指が動いてくれた方がうれしいですよね?」

⇒「そりゃうれしいけど、もう長いことこのままでどうにもならんのよ。病院に連れてってくれる言うけど、病院は行きたくない。もう諦めます」

 

私「では、もうこの手には一切触れないようにして脚だけ診てみますね」

⇒「先生、そう言わんと何とかして下さい!」

 

 

・・・ちょっと意地悪な問答になってしまったかもしれませんが、そのおかげで本人の最も深いニーズを拾い上げることができました。

 

 

指が伸びないという現象は、

言い換えると指を伸ばす筋肉の働きがバカになっている

ということ。

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指を伸ばす筋肉=総指伸筋は肘から指先までの長いひと繋がりの筋肉ですので、

指の運動に症状があったとしても肘から指までのどこにトラブルがあるのかを鑑別する必要があります。

 

経験上、筋肉の出発点や最も筋肉が太い部分に滑りにくさや緊張が生じやすいという特徴があります。

 

すなわち、指の伸ばしにくさを解決するために肘の周囲の滑りをよくする

という作業を評価の下に選択します。

 

 

1分後、

もう一度指を動かしていただくと

「先生、指が伸びるようになりました!」

と数年間伸びなかった指が広がっています。

 

 

この変化をきっかけに、「また次も来ますからお願いします!」と別人のように活き活きと帰って行かれました。

 

 

このエピソードから、

慢性化した問題であっても我々は常にロジカルな思考の下、主観的なレベルで結果を出していくことが求められるのです。

 

それによって対象者は目的をはっきりと持ち、漫然と与えられた物を受け取るだけでなく能動的に行動し自分から環境に関わろうとする。

 

 

全ての対象者に思い通りの成果をもたらすことは実際には困難かもしれませんが、

少なくとも訴えに対して柔軟に思考できる引き出しを備えておかねばならないということですね。

 

 

極端な話、

ある程度自然回復する急性期と違って症状の固定された慢性期ではコチラの技量が全てです。

 

そのような空間で、もう暫く自分の刃を研ぐことに集中していきます。

 

今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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痛みとは感覚が正しく入ってこない状態を指す。え、当たり前だって?

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もう10月も終わりですね。

この数ヶ月は目の前の課題をこなすことに精一杯で、休日くらいは子どもの相手をしっかりしてあげたいと思いつつも自分の体力がかなりすり減っているのが分かります。

夜になってようやくPCに向かっているところですが・・・

 

 

何度か触れてきましたが、

私は臨床家として脳に関する研究をしていた期間が長く、

顧客の問題解決=運動学習

という視点で治療に当たることが自分の中での絶対的なルールとして存在します。

  

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痛みのある患者さんの問題を評価するとき、

ある特定の行為は複数の構成要素に分けられ、身体の各部位は行為において重要な機能単位に細分化されます。

 

 

具体的に言うと、

「洗濯物を干すときに物干し竿に手を伸ばす」という行為に対して、

 

・自分の姿勢を維持するために腹圧が上昇する

・胸を張って身体を伸展させる

・足下がグッと踏ん張る

・肩が持ち上がって物干し竿へと腕を方向付ける

・物干し竿との距離を調整する

・正確に目的を達するための末端での微調整

 

というざっくりとした構成要素が存在します。

 

 

このときの身体各部の役割を明確にすると、

 

体幹および下肢・・・姿勢制御

・肩甲骨・・・上肢の土台

・肩・・・方向付け

・肘・・・距離の調整

・手首・・・指の向き

・手指・・・物の持ち方

 

と、機能単位としてどの要素が欠けても行為が成立しなくなることが分かります。

 

 

 

したがって、

「肩が痛い」と仰る顧客に対して単純に「肩」の問題と見なすのではなく、

一連の行為において特異的病理(上手く制御できていない)のある部位や要素はどこなのか?

という視点を持つことが、問題を鑑別する上で極めて重要である

と考えています。

 

 

今日はずいぶん専門的な話になってしまってますね。

 

 

例えば、

腕を挙げる時に「肘を曲げてないと上がらない」という対象者はかなり多いです。

痛みの生じる部位は肩であっても肘を曲げる筋肉が硬くなりすぎて重たくなっていることがそもそもの原因である

ということが頻繁にあります。

 

 

また、

猫背で胸郭(肋骨周囲)の可動性が狭い方の肩甲骨はガッチガチに固まっており腕の土台として機能していない

なんてこともしょっちゅうです。

 

 

こういった問題を抱えている状態では、

腕を上げる=とにかく力を入れること

となっておりまともな感覚などとても入ってきません。

 

ここで言うまともな感覚とは、

「軽い感じ」

「腕が伸びる感覚」

「指が遠くに感じる」

「呼吸が楽」

etc・・・

 

こういった感覚が慢性的に欠落してしまう訳ですね。

 

したがって、

治療の目的は「これらの感覚が感じられるようになること」だと信じてます。

 

この目的に沿う戦略を取捨選択していくのがセラピストの仕事です。

やはり筋トレではどうにもならなさそうですよね。

 

 

次回に続きます。

 

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漫然と膝にヒアルロン酸を打ち続ける方が実はかなり多いことに気付いた。

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最近、

仕事に追われてブログを後回しにしている感が半端ないですが・・・

 

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病院で作業療法士として動いているとき、

膝や股関節の問題を抱えている患者さんのリハビリテーション理学療法士がやるものである

というよく分からない基準がありました。

 

 

おそらく、

理学療法士は脚のリハビリ

作業療法士は手のリハビリ

 

という価値判断が療法士側にもあるためです。

 

 

そして、最近よく耳にするのは

「半月に一回は膝にヒアルロン酸注射を打ってもらいに病院に通っている」

というお客さんの声。

 

そもそも、

膝に痛みを抱えている方の多くは長年の肉体労働や、それに伴う加齢性変化によって関節の構造自体が変性していることが殆どですね。

 

 

患者さん本人は、

「出来るだけ手術はしたくない」

という思いをお医者さんに伝えるため、

「では関節内に注射をしましょう」

と言う流れができやすいものです。

 

 

確かに、

ヒアルロン酸は関節の潤滑油やクッションの役割をしており加齢と共に減少して・・・

云々とググればすぐに情報が入ってくる時代です。

以前から使われている治療手段ですからそれで「膝の痛みが治った」人もいるのでしょう。

 

 

しかし、

ウチに相談に来られるお客様は

「注射の後はしばらく痛くて動かれんし、2,3日は痛いまま。それを1年くらい続けてます」

「立つ時は相当気合いを入れんといけんし、買い物に行ったらまず座れるところを探す」

というなかなかの強敵揃いです。

 

 

この慢性化した問題に対して、

もはや注射でどうにかなる可能性は極めて低いことが分かります。

 

 

膝という構造は、

人間が立って活動する限り常に体重と床からの衝撃に挟まれる「中間関節」です。

 

 

自分の体重を支えながら移動する

という基本動作は骨盤・股関節・膝・足首・足趾まで全ての協調的な動員によるものであり、

そのうち最も可動性が求められるのは確かに「膝」であるけれども「膝が痛い」という慢性的な症状を抱える人で膝以外は正常

などという人を見たことがありません。

 

 

特に、

膝から下が硬くなり「脛がパンパンに腫れている」場合が多くあります。

 

そのような方のふくらはぎ(=下腿三頭筋)を触れると柔軟性が失われ足首の可動域も非常に狭い

ことが分かります。

 

 

つまり、

地面からの衝撃を逃がす緩衝装置としての機能が破綻し足元で殺し切れないエネルギーが上へと伝わっていくことで、体重支持以上の負荷が慢性化し膝へのダメージが蓄積する

と仮説を立てることができます。

 

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治療すべきターゲットが「膝」ではなく「ふくらはぎ」だとすると、

筋筋膜性の連結を考慮した運動療法の必要性が出現してきます。

 

 

ここでいう運動療法の目的は「足部の緩衝作用を再構築して膝への荷重ストレスを軽減すること」であり、筋トレをするという意味ではありません。

 

 

これらをご本人に伝えた上でエクササイズを実施してみます・・・

 

 

 

 

最初の評価・治療で「立って靴が履けるようになった」

次の治療で「脚が抱えられるようになった」

さらに続けていくと「自然に立てるようになった」「椅子を探さんでもよくなった」「ロボットのような動きでなくなった」・・・

 

 

という学習効果が定着してきました。

 

なお、ヒアルロン酸は早急にご本人の意思で終了したそうです。

 

 

 まだこれからも改善していく要素は少なからずありますが、

10年後の自分の生活の質に危機感を抱き現状を変えたいと強く思われた方が、こうして適切な運動療法を選択されたことに私としても嬉しく思います。

 

 

 

現代医学は様々な治療法が確立しつつありますが、

我々の仕事においてはフィジカルアセスメントが最も重要です。

(このブログの読者であるあなたはもうご存じかも知れませんが今一度強調しておきます。)

 

 

仕事をする場所が変わっても私には国家資格を持った療法士としてのプライドや「常に考えること」は決して忘れないようにしています。

 

 

もし身近に、

ただのルーチンワークとして病院に通い痛みに悩んでおられる方がおられましたらお気軽にご相談いただければと思います。

 

 

 今日もここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

 

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